ドラ1高山48発!掛布2軍監督驚がく
「阪神2軍春季キャンプ」(4日、安芸)
前日に衝撃の屋外フリーデビューを果たした阪神のドラフト1位ルーキー・高山俊外野手(22)=明大=が4日、サブグラウンドでロングティーを行い、60スイングで48本の柵越えをマークした。しかも“マン振り”した最後の1球は高い防球ネットの上部にライナーで突き刺さり、ネットがなければ安芸ドームを越えていた推定140メートル弾。掛布雅之2軍監督(60)もこれには驚がくし、第1クールのMVPに選出した。
フェンスを越えない打球を数えた方が楽だった。面白いようにネットへ突き刺さっていく白球を追って、昼下がりのサブグラウンドに黒山の人だかりができた。その視線の先にいたのが高山。前日のフリー打撃で受けた衝撃は、もはや“衝撃”ではなくなった。
単なるヒットメーカーではない-。その事実をサブで行ったロングティーが如実に示していた。三塁ベンチ前から安芸ドーム側へ向かってアドレスした高山。体慣らしのスイングを終えると、スイッチが切り替わった。
まるで「飛ぶボール」を使っているんじゃないかと思ってしまうほど、ボールは飛んだ。弾丸ライナーで約100メートル先のフェンスに直撃するだけでも十分だが、見守るファンはため息を漏らす異常な雰囲気。フェンスを越えた打球は60スイングで実に48球。「ラスト!」の声がかかり、“マン振り”した打球は力強いライナーで防球ネットの上部に突き刺さった。
間違いなくネットがなければ安芸ドームを越えていた推定140メートル弾。その時、掛布2軍監督はメーン球場で指導中だったが、ドームの入り口で結果を伝え聞くと「えっ、本当に!?48発も!?」とサブグラウンドの高いネットを見上げて絶句。「いい意味で驚かせたのは高山、板山の両新人。山々コンビだよ」とドラフト6位の板山と合わせ、第1クールのMVPに選出した。
「昨日のフリーよりも形を意識して。正しい形でしっかりと打てる感覚を」と冷静に振り返った高山。午前中にミスタータイガースから「ボールの下をたたけ」と打球にスピンをかける意識を植え付けられた。
それをすぐに実践し、逆風を切り裂く力強い打球を見せた高山。送球テストもクリアし、第2クールから全体練習に合流することも決まった。指揮官の大絶賛にも「うれしいですけど、まだ全体練習に入れていない。まだスタートラインにも立っていないので」-。そう表情を引き締めた“怪物”の底は、まだまだ計り知れない。