新ルールで虎大混乱 アウトも走塁妨害
「阪神春季キャンプ」(9日、宜野座)
シート打撃を行い、タイミングはアウトのクロスプレーが、新たに導入されるコリジョン(衝突)ルールによってセーフとなる事態が発生した。矢野燿大作戦兼バッテリーコーチも(47)も、公式戦での抗議を思わせるほどの勢いで審判団に確認に向かうなど大混乱。捕手にとっては自然な動きでも走塁妨害と判定される可能性があり、今後もさらに対策を練ることになりそうだ。
予想外の思わぬジャッジに本番さながらの熱が帯びる。新ルールが頭に入っていても、混乱は生まれた。アウトと思われた梅野の本塁突入に栄村球審の判定はセーフ。すぐに矢野作戦兼バッテリーコーチは、公式戦での抗議のような勢いで、審判団に確認に走った。
「これからもこういうことはある。今日のはいい参考になった」と矢野コーチ。タイミングはアウト。ただ、今季から導入されるコリジョン(衝突)ルールによってのセーフだ。今後にもつながるクロスプレーは、シート打撃で起こった。
走者二、三塁で内野は前進守備。西岡の打球は遊撃・鳥谷の前に転がった。軽快にさばいて本塁へ送球したが、わずかに三塁側にそれ、捕球しようとした小宮山の左足が自然と走路に入る。三走・梅野へのタッチはアウトのタイミングだったが、コリジョンロールによって「走塁妨害ということ」(高代ヘッド)と判定され、セーフとなった。
もちろん、小宮山はわざと妨害したわけではない。「(走路に)入ったつもりはない。プレーの流れの中でボールの位置があそこだったので自然に動いていた」。新ルールを頭に入れた上で、妨害した意識もなかった。それでも、妨害ととられたところが混乱を招いた要因だ。
矢野コーチも「(捕球時は)足も一緒に動く。手だけでは捕りにいけない」と話す。捕手としての自然な動きが、妨害となりえる難しさ。ただ、審判団も今はデータ収集の真っ最中。シート打撃後、森クルーチーフは「これからもこういったプレーは出てくるので、話し合っていきます」と、この「線引き」の見極めを、より詳細に詰めていく方針だ。
その後、サブグラウンドでも、矢野コーチを中心にあらためて本塁クロスプレーの練習を実施。金本監督も「(捕手は)本能的に足が出たりして迷うよ」と話した上で「(走者が)ぶつかるとタックルを取られかねない。走者も迷うよな」と両方の難しさを話した。実戦形式の中で早めに出た課題を前向きにとらえ、対策を練るしかない。