これぞ金本流 死球緒方に「骨か肉か」
「オープン戦、ソフトバンク3-3阪神」(3日、ヤフオクドーム)
この気合が金本イズムの真骨頂だ!六回、先頭の阪神・緒方凌介外野手(25)が右膝に死球を受け、打席で苦悶(くもん)の表情を浮かべた。そこに駆け寄った金本知憲監督(47)が放った言葉は「(当たった箇所は)骨か?肉か?」-。「肉です」と答えた緒方は一塁へ。鉄人らしい激励、そして痛みを我慢しプレーを続けた若虎。チームには確実に金本イズムが浸透している。
金本監督が勢いよくベンチを飛び出した。2点を追う六回の攻撃シーンだ。先頭の緒方が加治屋の143キロをもろに右膝に受け、もんどり打って倒れ込んだ。真っ先に駆け寄った片岡打撃コーチがその痛がりようを見て×のサインを送る。交代を告げられる…と思われたそのとき、指揮官と緒方の間でこんなやりとりがあった。
金本監督「骨か?肉か?」
緒方「肉です!大丈夫です。いけます!」
金本監督「そうか。いけるなら、いけ」
東洋大時代に右膝の手術を受け、一昨年9月に半月板のクリーニング手術…昨季は手術明けの影響で1軍出場なしに終わった4年目外野手はスッと立ち上がり、屈伸運動をして、何事もなかったように一塁へ走った。
金本監督「骨とか関節だったら、そりゃもう…。もろに肉の部分と言うから。あそこは当たったときは痛いんだけど、治まれば何てことはない。大事を取る?当たり所によってはいくら本人が気持ちでいく!と言っても、やめさせるけど、本人がいけると言い出したから、いけるならいけよ、と」
1番DHでスタメン出場した緒方は第1、第2打席でともに千賀の初球150キロをはじき返し、2打数2安打で迎えた3打席目だった。ルーキー高山、板山の追い上げもあり外野戦争はし烈。「こんなところで下がったら交代させられる。力が入らなかったけど、屈伸したら力が入った。肉だったので…」。現役時代、「痛いと言わなかったらケガじゃない」と、骨折しても、じん帯を断裂しても試合出場を続けた鉄人魂が乗り移ったように、小兵の背番号65は奮起。続く大和の中前打で全力で三塁まで駆け、西岡の適時打で生還。高山の同点打を呼びこむ起点となった。
指揮官は広島時代、当時の三村監督から「お前の代わりなんてナンボでもおる」と、例えオープン戦でも「痛い」と言えばポジションを失う恐怖と隣り合わせだった経験がある。「肉です!」と目をむいた緒方に、若かりしころの自身を映したのかもしれない。試合後、金本監督はちょっぴりうれしそうにこう言った。「肉で、行く!って」。超変革の風が吹き込んだ博多の夜だった。
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