ドラ1高山、プロ初甲子園で初安打
「オープン戦、阪神2-4ロッテ」(5日、甲子園球場)
2016年の甲子園初戦で黄金ルーキーが輝いた。阪神ドラフト1位・高山俊外野手(22)=明大=が五回、プロ入り後聖地初安打となる中前打を放った。金本阪神の本拠地初陣にかけつけた1万4000人の虎党に、あいさつ代わりの巧みな一打を披露。これでオープン戦は3試合連続安打。開幕1軍へこのまま突っ走れ!
高山の打球が二遊間を抜けると、甲子園が大歓声に包まれた。プロに入り、初めてとなった聖地での試合。かけがえのない思い出が、頭の中を駆け巡る。だが、感じた雰囲気は今までとは違っていた。声援を送る虎党の声が聞こえる。プロ野球選手であることを、実感した瞬間だった。
「球場の雰囲気にのみ込まれないように、自分のペースでいこうと思いました。舞い上がることなく、いつも通りいこうと。自分らしく、できたんじゃないかなと思います」
五回、先頭で立ったこの日の2打席目だった。ロッテの先発・大嶺祐の初球を見逃し、カウント0-1。真ん中から外に逃げるツーシームに体が反応した。バットの先でボールを捉え、打球は遊撃手の横を抜けて中前へ。卓越したバットコントロールでHランプをともした。
3、4日のソフトバンク戦でも結果を残したルーキーは、これでオープン戦3試合連続安打。1軍級の投手を前にしても、気後れすることはない。がむしゃらに白球を追いかけていたあの頃も、同じような気持ちだった。
「甲子園に出たかったので」と選んだ東京・日大三で、3度の夢舞台に立つことができた。高3夏の甲子園決勝、青森・光星学院戦では、バックスクリーンへ飛び込む弾丸ライナーの一発を放ち、チームは全国制覇。同大会は「5番・右翼」で打率・500、2本塁打。夢に見た場所で、自信を得た。「どうなるかはわからないとは思っていましたけど、プロになる道は考え始めていました」。夢の続きが、芽吹き始めた時間だった。
あの時から5年-。世代屈指のヒットメーカーに成長し、プロの扉を開いた。背負う番号は、高校時代と同じ「9」。だが、蔦(つた)の絡まる球場は、仕事場となった。
オープン戦は残り11試合。開幕スタメンをかけた戦いは、今後より一層激しくなる。「打席では、自分のことを考えてきたいです」。1打席に思いを込め、全力スイングでレギュラーの座をつかんでみせる。高山が、甲子園で再び輝きを放つ。