球児、続投志願 ケジメつけて開幕へ

 「オープン戦、阪神4-2オリックス」(20日、京セラドーム大阪)

 マウンドの輪の中心で、阪神・藤川球児は自分の意思を貫いた。2点リードの六回。6番T-岡田を左飛に打ち取ったところで、球数は98球に達していた。予定の100球に近づいたため香田投手コーチと話し合うが、「もう少し、お願いします」と続投を志願した。球児には投手として、譲れない自負があったのだ。

 「イニングの途中で代わるという習慣がないので。リリーフをやっていたので、イニングはできるだけ投げきりたいと思っていた。途中で代わる癖がついてしまうので」

 イニング途中登板の難しさを知るからこそ、最後まで投げきりたかったという。もう一度、気を引き締めると、後続2人をきっちり料理した。ルーキー吉田に特大弾を浴びたものの、今年最長となる6回を投げ3安打2失点。106球を投げきった。打者3巡目も初めてクリアし、1週間後の27日・中日戦(京セラドーム)へ、最終リハーサルを終えた。

 「次のことを考えながらです。球数もしっかり投げられたので。いい準備ができたと思います。京セラのマウンドの感触を確かめられたことも収穫です」

 球児が振り返ったように本番前に“鬼門”のマウンドを踏んだことも大きい。渡米前、球場との相性は決していいとは言えなかった。11年は5試合0勝1敗4セーブ、防御率3・86、12年も5試合0勝1敗1セーブ、防御率3・60とやや手こずっていた。固いとされるマウンドの感想は「分からないです。どうでしょう」とはぐらかしたが、その明るい表情に、手応えがにじんでいた。

 5度目の実戦登板は最速144キロの直球にカーブ、スライダー、フォーク、ツーシームを交えた。変化球中心の配球だが、指揮官は「軽く投げてファウルも取れていたしね」とボールのキレを絶賛。キャンプから調整を見守ってきた香田投手コーチも「いろんな不安がある中で1つ1つ、階段を上ってくれた。すごくいい準備をしてくれた」と最敬礼だ。

 いよいよ新しいシーズンが始まる。「しっかり栄養をとって、いい睡眠をとりたい」と球児。1週間後へ、気持ちも高ぶってきた。

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