金本虎逆転負けも「最強チーム作ろう」
「阪神2-5中日」(25日、京セラドーム大阪)
プロ野球は25日、セ、パ両リーグが同時開幕した。阪神は金本知憲新監督(47)のもと、初回から“超変革”攻撃で先制。積極果敢に攻めまくったが、逆転負けで黒星発進となった。試合前の出陣式では「最強のチームをつくろう!」と猛撃を飛ばした指揮官。熱く、泥くさく、がむしゃらに頂点を目指す“金本野球”が幕を開けた。
金本監督は敗戦後20秒でベンチ裏の会見場に姿を見せた。新打線が大野を崩しきれず、メッセンジャーが10安打を浴びて開幕星はお預け。報道陣に囲まれると何度も帽子をかぶりなおし、選手時代とは違う独特の感情を吐露。公式戦初采配を振り返った3分33秒の会見で努めて冷静に強調したのは、選手のひたむきなプレーだった。
「(緊張は)正直、あったね。消極的になる自分が怖かったけれど、割とアグレッシブにいけたかな。矢野の助けもあってね。きょうは本当にみんなが目いっぱいやってくれたよ。これを1年間続けて欲しい。常に目いっぱい全力プレーというものをね。きょうは負けたけど、いいものを見せてもらったよ」
前日「発展途上のチームなので恐れず攻めていきたい」と宣言した通り、前のめりで攻めた。1点ビハインドの五回にエンドラン、バスターを駆使して相手陣形をかく乱。西岡の好判断もあり、まさしくアグレッシブに1点をもぎとった。メッセンジャーが盗塁を決め、敵失に乗じて全力で三進すると、指揮官は両手をパン!パン!「全ての意識を変える」と臨んだキャンプで徹底してたたき込んだ走塁改革をたたえた。
試合前のロッカールームは花園の高校ラガーマン顔負けの熱さが漂った。四藤球団社長に続き、金本監督が選手、全スタッフに血気盛んに語り掛けた。
「どんなときもファイティングポーズを崩さず戦っていこう!このメンバーで最強のチームをつくろう!新しい歴史をつくっていこう!」
円陣が解けると、全員が大声でハイタッチを交わし、主将鳥谷が「きょうが初戦!絶対勝ちましょう!」と号令をかけた。セカンドアップでグラウンドに飛び出したチームスタッフの1人は目を真っ赤に腫らしていた。
昼過ぎ、兵庫県内の自宅で神棚に手を合わせ、物静かに出陣式を済ませた。午後1時前に青いシャツで京セラドームへ向かい、水色のネックレスをつけて采配を振った。本人は「別に」と言うが、ブルーは16年の勝負色…なのかもしれない。
「怖がらずに攻めていくよ。失敗してもいいんだから。読まれてもいいし、外されてもいいんだから。そこを僕が恐れちゃ…選手が恐れ始めるから」
竜打線に計13安打を浴び、四回以降失点を重ねた。守りでミスも出た。それでも虎はひとつになった。新スローガン「超変革」の足跡を残した3・25。金本阪神は目指すべき「最強」の称号へ大きな一歩を踏み出した。