ドラ1高山、虎新人史上最速打点
「阪神7-3中日」(26日、京セラドーム大阪)
阪神ドラフト1位・高山(明大)の心には、開幕戦の敗北がくっきりと刻み込まれていた。勝ちたい-。その一心でフルスイングし、視界が開けた。三回1死一塁。山井の高めに浮いた直球を強引に引っ張り込むと、打球は右中間を鋭く破った。プロ初打点の先制打は、金本監督の初勝利を呼び込む貴重な決勝打。大歓声の中で味わう勝利の美酒は、格別だった。
「そういう(金本監督初勝利)特別な日に打点を挙げられて、すごくうれしい気持ちでいっぱいです」
プロ初のお立ち台で喜びを爆発させた。途中、スタンドのファンから飛んできた「高山!もっと大きな声で!」という“ゲキ”にも応え「(声を)張りました(笑)」とルーキー。「(応援が)ありがたいです。もっと応援してください」。初々しい言葉に、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。
新人の開幕2戦目での打点は、ドラフト制後では1969年の田淵幸一、2001年の沖原佳典の3試合を上回り、球団史上最速。六回は三塁失策の間に、一気に二塁を陥れるなど積極的な走塁も光った。開幕戦から2戦、背番号9の存在感は際立っている。それでも本人は至って冷静だ。「自分はマイペースなので」-。その言葉の裏に高山の強さがある。
「休みの日は目覚ましをかけずに寝て、適当な時間に起きます。予定もあまり立てないですし、それに縛られるのが好きではないというか。結構『行き当たりばったり』が多いように思いますね」
映画館、DVD鑑賞、自主練習…。明大時代は、同僚のドラフト2位・坂本とよくラーメンを食べに出掛けることもあったという。「『暇?どこか行こうか?』という感じ」。誰にも流されず、常に自分のペースを大切にしている。ユニホームを着てもその心は変わらない。「開幕しましたけど、普段通りやるだけですね」。プロという大舞台でも、自分を見失うことはない。
「1番(打者)らしくということを考えずに、自分らしくすることで1番に置いてもらっている思うので」
決してぶれることのない信念。高山が歩む野球道が、阪神の「超変革」を推し進める。