ヘイグ1号!金本監督「OP戦と別人」
「ヤクルト8-4阪神」(30日、神宮球場)
この男の勢いに衰えはない。阪神のマット・ヘイグ内野手(30)が四回、左越えに来日初ホームランとなるソロを放った。米国から駆けつけた家族の目の前で記念の一発と九回にも左越え二塁打。これで開幕から5試合連続安打。チームの連勝は3で止まったが、ヘイ!グー!な活躍で31日は勝つ!
言葉にはならない威圧感を発していた。ヘイグに対してストライクが入らない。たまらず、カウントを取りに来た球を逃さなかった。「微妙だと思ったけど、行ってくれてよかった」。来日後、初めてダイヤモンドをゆっくりと一周した。
読みがはまった待望の初アーチだった。1点ビハインドの四回1死。内角低めの137キロ直球を逃さなかった。「カウント3-0からインサイド気味にストライクが来て、もうひとつ続けてくるんじゃないかなという意識があったから、うまく打ち返すことができたよ」。迷いなく振り抜いた打球は左翼席まっしぐら。虎党を狂喜乱舞させた。
実に5試合21打席連続で一度も空振りがない。「知らなかったよ」と話すが、打てる球とそうでない球を見極められている証拠。この日の4打席は初球は全てボールで手を出さなかった。九回1死でも左翼・坂口のグラブをはじく二塁打。開幕前に結果が出ない助っ人を信じ続けた金本監督は「最後もいい当たりだったし、オープン戦のときと比べたら別人ですよ」と目を細めた。
チーム唯一の5戦連続安打で打率・500。その要因には力強い味方があった。母・テレサさん(54)と弟・マイケルさん(28)が29日に初来日。友人の結婚式に出席するため米国へ帰国中の妻・エリカさん(33)の“代役”としてバックネット裏で声援を送った。
テレサさんは「人生の全てよ」と力を込めるほどの野球好き。兄が「僕より頭がいいんだ」と形容するマイケルさんは米国でエンジニアとして働いている。試合前「ぜひ、(本塁打を)打ってほしいね」と兄の一発を期待していたが、その願いは実現。カクテル光線を浴びる背番号36に「わくわくしたよ!」と興奮を隠しきれなかった。
「家族の目の前で打つことができて、うれしいよ。(帰ったら)ルームサービスでも提供しようかな。疲れているだろうからね。できる限り、来てもらいたい。その中で今日はホームランを打ててよかった」とヘイグ。2人にとっては忘れられない日本旅行になったに違いない。家族、チーム、そしてファンのために。愛する人からパワーをもらった助っ人の量産態勢が整った。