西岡サヨナラ打で男泣き!逆転初奪首だ
「阪神3-2広島」(8日、甲子園球場)
ツヨシが決めた!そして泣いた!1点を追う九回、猛虎打線が驚異の粘りを発揮した。1死から3連打に失策が絡んで同点とし、最後は西岡剛内野手(31)が右越えへ劇的なサヨナラ打。今季初の甲子園でお立ち台に上がった背番号7は感極まって男泣きだ。この日巨人が敗れ、チームは今季初めて首位に浮上。若手、中堅、ベテランが一体となった金本阪神の勢いは本物だ。
感極まったヒーローの目が潤んだ。「この2年間、ケガをして、この場に立てたことを本当にうれしいなと思います」。お立ち台でファンにメッセージを送っていた時、スタンドで喜ぶ両親の顔が目に入った。しばらく声を詰まらせた西岡は「今年ね、何とか阪神のために一生懸命やりたいと思いますので、温かく見守ってほしい」と言葉をつないだ。
勢いを象徴するような勝ち方だった。1点ビハインドで九回裏に突入。1死から広島の守護神・中崎を攻め立てた。福留、ゴメス、鳥谷の3連打に失策が絡んで同点。一、三塁でこの日無安打の西岡に打席が回ってきた。
「前の打者がしっかりつないで、僕のところにいいところで回してくれたので期待に応えたかった」。カウント1-2と追い込まれてからの4球目。141キロ直球を振り抜いた打球は右翼手の頭上を越えた。今季初の甲子園で劇的なサヨナラ勝ち。一塁ベンチから飛び出したナインに祝福の水を浴びせられ、金本監督と抱き合った。
「チーム全体が差し込まれ気味だったので、タイミングを早く取っていけ」と指示を出していた指揮官。「2ストライクに追い込まれるまでは差し込まれ気味で…人の話を聞いているのか!と思ったけど」と笑わせながらも「最後はノーステップで経験を生かしたバッティングをしてくれた。さすがですね」と西岡の一打を絶賛した。
キャンプ中から「サボり大魔王」や「手抜きの神様」とやゆされてきた指揮官に対し「監督がいじることによって、ファンもいじり出すのでね。ちょっとやめてもらいたいかなと思います」と西岡節をさく裂。それでも今季12球団最多の4万6368人の大観衆の中に両親を見つけると、涙がこみ上げた。
故障で満足な結果を残せなかった昨年オフ、ついに意を決して両親に「もう辞めたい」と切り出した。「もう1年は見たい。もう1年ダメだったら考えたら」と説得されて引退を撤回。「ユニホームを着ている僕を見たいと言ってくれた両親なので、その両親をほっとさせることが一番うれしいですね」と安どの表情を見せた。
2013年6月5日・西武戦(倉敷)以来、3年ぶり通算4本目となる西岡のサヨナラ打が開幕13試合目でチームを単独首位に押し上げた。「今、首位だからといって喜んでいる選手は誰一人としていない。また明日、試合がありますから、しっかりとやりたいなと思います」。過去2年とは確実に違う。2016年の西岡は金本阪神の“超変革”の象徴の一人だ。