鳥谷、自己最多6打点!阪神3位浮上

 「広島9-12阪神」(22日、マツダスタジアム)

 阪神が19安打12得点と打ちまくって乱打戦を制し、3位に浮上した。打線を引っ張ったのは、不振が続いた鳥谷敬内野手(34)だ。3-4の二回、1点を返して同点とし、なお2死二、三塁で勝ち越しの1号3ラン。三回には左前適時打で追加点を奪った。2本の犠飛を含め、この日は自己最多の6打点と大暴れ。主将の復調とともにチームも上昇する。

 真っ赤に染まった右翼席に、鳥谷の今季1号3ランが突き刺さる。二回2死二、三塁。横山の141キロを完璧に捉えた打球は、広島の夜空に鮮やかな放物線を描いた。主将のバットに導かれたチームは壮絶な打ち合いを制し、今季最多19安打12得点。故郷・広島で初采配となった指揮官は勝利を手にし、猛虎は3位に浮上した。

 「カウント3-1と打者有利の状況だったので、思い切って打ちにいけました。しっかりと捉えられました」

 今季23試合目、94打席目での一発。これで鳥谷の通算本塁打は127本となりカークランド、八木裕を抜いて球団歴代単独13位なった。だが、この日はこれにとどまらない。初回に犠飛を放つと三回は左前適時打を放ち、五回は再び犠飛。プロ入り自己最多の6打点をたたき出した。

 「チャンスだったので、思い切っていきました。勝てて良かったです」

 開幕後、打率1割台と低迷が続いていた。足の上げ方を変え、トップの作り方を変える。「毎日同じようでは打てないですから。いろいろ変えていかないと」。苦しみながら懸命にもがいていた。最も大事にするテーマは「体を開いて、当てるだけの打撃はやめよう」-ということ。徐々にではあるが、視界は開けてきている。

 金本監督は「今日はだいぶ右翼側に引っ張ってファウルを打っていたから、ちょっと違うなと思ったね。ああいうファウルは今年初めて見たから」と主将の変化に目を細める。意識改革から始まり、試合の中でも心技体がかみ合ってくるようになってきた。背中を見つめ、共に戦う猛虎戦士のためにもこの感触を忘れてはいけない。

 初回に3点を先制したが、先発・メッセンジャーが4点を献上して逆転。中盤から終盤にかけても中継ぎ陣が失点を許す。だが、それ以上に打線が奮起した。高山の4安打に加え大和、ゴメスが猛打賞。先発野手全員安打の猛攻で鯉を粉砕。片岡打撃コーチは「ど突き合いに負けなかったことは大きいね」と納得の表情を浮かべた。

 七回に今季3個目の失策を犯したが、この日の勝因は鳥谷の6打点に他ならない。「勝てて良かったです」。指揮官は故郷・広島で初采配初勝利。自らが「お前が変わらないとチームが変わらない」と超変革の象徴として期待する男が、勝ちを引き寄せた。

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