石崎救った!球児ばりオール“火の玉”

 「阪神3-2中日」(18日、甲子園球場)

 後輩から受け取った勝利のバトン。3-1の六回1死一、二塁、一打同点の場面。阪神・石崎剛投手は「フー」と息を吐き、心を落ち着かせる。投げるボールは一つに決まっていた。藤川球児を夢見て、これまで磨き続けてきたストレート。「『絶対負けたくない』。その気持ちでした」。自慢の直球には魂が宿っていた。

 「社会人(新日鉄住金鹿島)の時もこういう場面がありましたので、それと同じような気持ちでいきました」

 先頭のビシエドは、オール直球で追い込んでから高め148キロで空振り三振。続くナニータも、全て真っすぐで一ゴロに仕留めた。七回も三者凡退に打ち取り、今季初ホールドを記録。社会人時代からの後輩・横山の聖地初星を強烈にアシスト。「最高にうれしいです」。そしてもう一つ、石崎にとって忘れられない瞬間が訪れる。

 「ずっと憧れだった球児さんが最後投げてくれたことで、僕もすごく感動しています」

 九回、「藤川」のコールが響くとその姿にくぎ付けになった。「正直、生で見るのは初めてだったので」。プロ野球選手への長き道のりは、火の玉ストレートを追い求める道でもあった。「早く自分がその位置にいけるようにしたいです」。同じ舞台に立つ今、夢の人から超えなければいけない人に変わった。だから、もっと強くならなければいけない。

 昨年は8試合に登板し防御率7・15。ふがいない自分を払しょくするため、取り組んだのはメンタルの強化だった。今オフ、メンタルトレーナーと契約を交わし本格的に始動。そこに、飛躍のきっかけはあった。広島・黒田の話が心に染みた。

 「『プレッシャーと戦っているんだ。周りが思っている以上に、そんなに強い人ではないんだぞ』という話を聞いた時に思ったんよ。やっぱり自信を持つためには練習量。どれだけやったか、ということだと思うからね」

 金本監督は「今日は石崎が一番大きかったと思います」とこの日一番の勝因に右腕の力投を挙げた。猛虎を救う火の玉の継承者-。背番号30が、力強く名乗りを上げた。

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