球児、サヨナラで救援再転向後初黒星
「ヤクルト9-8阪神」(25日、神宮球場)
シーソーゲームの結末は、あまりに無情だった。ヤクルトナインの歓喜を横目に阪神・藤川球児投手は誰よりも早くベンチを出た。「結果なので。また明日ですね」。一切の言い訳はしない。サヨナラ負けの責任を一身に受け止めた。
8-8の九回、2夜連続で神宮のマウンドに立った。先頭畠山に対して、直球4球で追い込んだが、勝負球のフォークが甘く入ってしまう。左翼線二塁打されると、続く雄平は敬遠、犠打で送られ、1死二、三塁。満塁策も考えられる中で、球児は勝負を選択した。ファウル2つで有利なカウントとしながら、4球目を捉えられた。打球は中犠飛となり、12年8月21日・中日戦(京セラ)以来の救援敗戦。リリーフ再転向後、初黒星を喫した。
「押し込めていたけどね。紙一重だね」
香田投手コーチは悔しそうな表情でサヨナラのシーンを振り返った。金本監督も、球児は責められないかと聞かれると「そうだね。連投だしね」と登板が続く右腕をかばった。
帰り際、球児は口元をギュッと締め、三塁側を歩いた。「球児、明日頑張れよ!」「球児、応援してるぞ!」。東京の虎党からは温かい声援が飛んだ。シーズンはまだまだ続く。下を向いている暇などないと、球児自身が一番知っているようだった。