原口さすが5番!驚異の得点圏打率
「巨人4-6阪神」(28日、東京ドーム)
泣く子も黙る数字が躍る。驚異の得点圏打率・481。阪神・原口文仁捕手(24)が四回、逆転劇の突破口を開く反撃の適時打。勝負強い5番の一打を含めた炎の4連打で一挙4点を奪い逆転。九回にも左越えに5号ソロを放ち、3年ぶりの東京ドーム3連勝。3カードぶりの勝ち越しで2位に浮上だ。
堂々たるクリーンアップの働きで貯金1をもたらし、チームを2位に押し上げた。2点を先制された直後の四回1死一、三塁で5番・原口。今村の直球に詰まりながらも右前に落とした。反撃の適時打が呼び水となり、ヘイグ、新井良と3者連続適時打による一挙4得点につながった。
逆転劇の突破口を開く一打に「すぐに返せてよかった。回してもらったチャンスだったので、何とかバットに当てることだけを考えていけた。いいところに落ちてくれてよかった」と振り返った。
支配下再登録されてまだ1カ月だが、得点圏打率は27打数13安打、・481のハイアベレージを誇る。走者を置いての頼もしい打撃を「そんなことないです」と謙そんするが、何よりも数字が証明している。
勝利を決定づける一撃も放った。2点リードの九回、宮国の初球135キロ直球を逃さず仕留めた。真ん中高めを完璧に捉えた打球は、虎党の黄色で埋め尽くされた敵地の左翼席に着弾した。
四回の4点以外、自軍のスコアボードには0が並んでいた。最終回の守りに入る前に欲しかった追加点を叩き出した2試合ぶりの5号ソロ。価値ある一発に「うれしいですね。どこまで行ったかみたいな感触はよかったです」と笑顔を見せた。
スタメン定着後しばらくは下位を打っていたが、22日・広島戦から6試合連続で5番を任されている。片岡打撃コーチは「すっかり5番どころか、今日もチャンスでのタイムリーもそうだし、九回のホームランは守っている原口が一番、2点差のプレッシャーを感じていたと思う。そういうところで自ら決めてくれた」と絶賛した。
シンデレラボーイと称される原口の活躍を誰よりも喜んでいるのが恩師の帝京高・前田三夫監督だ。同校野球部の部室内のホワイトボードには、原口の活躍を報じたスポーツ紙の1面が張り出されている。今では原口先輩が本拠地とする甲子園。11年夏以来、5年ぶりの出場を目指す後輩たちの大いなる励みになっている。
3年余の育成選手期間を経て、巡ってきたチャンスを確実にモノにしつつある。打順については「どこでもやることは変わらない。ランナーをかえすことに集中して、回してもらったチャンスを何とか生かしたいとやっています」と冷静だ。敵地での伝統の一戦でも平常心でプレーできる精神力は最大の武器。打てる捕手・原口が混戦のセ・リーグを抜け出すカギを握る。