原口また盗まれた…楽々走られ失点直結
「交流戦、楽天9-1阪神」(31日、コボスタ宮城)
試合の結果を左右する重要なプレーだった。0-3で迎えた七回1死一塁。足立のバントが、阪神・原口文仁捕手の前へと転がる。素早く拾い上げると、迷いなく二塁へと腕を振った。しかし、芝に足を取られたこともあり、送球は力なくベース手前でワンバウンド。犠打野選となり、ピンチは拡大した。
「あそこは絶対に抑えないといけないところでした。自分のプレーで試合を壊してしまい、申し訳ないです」
1死一、二塁となりドラフト1位・オコエ(関東第一)にプロ初安打を許した。その後、3本の適時打を打たれ、この回一挙5失点。試合は決まった。矢野作戦兼バッテリーコーチは「チャレンジしていいところだと思う」とかばったが、やりきれない思いは残る。
ここまで出場28試合で打率・372、5本塁打、18打点。豪打全開でチームをけん引している。だが一方、「捕手・原口」の課題は山積みだ。四回1死一塁では、一走のドラフト3位・茂木(早大)が二盗を成功。これが今季、捕手として許した18個目の盗塁だった。31日現在で企図された24回のうち、阻止したのはわずか6回で、阻止率は・250。送球に、弱点がある。
30日時点で、セ・リーグで最も高い盗塁阻止率を残すのが巨人・小林誠で、・440。昨季ゴールデングラブ賞に輝いたヤクルト・中村は・326。スコアラーの見解などを加味し、今後パ・リーグの各球団が「足攻」を仕掛けてくる可能性は十分ある。七回のプレーも含め、送球技術の向上は急務だろう。矢野コーチは愛弟子に語りかけるように話した。
「まだまだこれからだから。捕手としての経験もこれからだし。これから、これから」
キャッチャー用具を携えてプロの扉をたたいたが、度重なる故障で近年は内野手として試合に出場。再び、本格的に捕手の練習をし始めたのは今春キャンプからだった。巨人・阿部に憧れて進んできたいばらの道。これまで高い壁を何度も乗り越えてきた。苦境を打破した先に、さらなる高みは待っている。