岩貞悔し泣き…あと1死から悪夢
「広島4-3阪神」(26日、マツダスタジアム)
27個目のアウトが遠かった。1点リードで九回裏のマウンドに上がった阪神・岩貞祐太投手が突然崩れた。3安打と1四球で同点とされ、なおも2死満塁で無念の降板。三塁ベンチでこみ上げる悔し涙を拭っていたところ、悲劇的な幕切れが待っていた。
菅野に投げ勝ち、プロ初完封勝利を挙げた5月27日・巨人戦(東京ドーム)以来となる今季5勝目が消えただけではない。同一カード3連敗阻止もかなわず、「やることはやらないと最後ああいうことになってしまう」と悔しさをにじませた。
八回までは完璧に近い投球だった。許した安打は二回に浴びた新井のソロだけ。2点目は五回1死から3者連続四球と犠飛で失った。特に六回からの3イニングはいずれも三者凡退。わずか1点差だったが、首脳陣から信頼されて九回のマウンドを託されていた。
1死満塁で下水流はフルカウントから内角への144キロ直球で見逃し三振。続く会沢にカウント1-1からチェンジアップを4球続けた末、左前に運ばれて同点。ベンチはここで交代を決断した。
124球が報われなかった左腕は「それまでの流れで相手に『いけるぞ』という雰囲気を漂わせてしまった」と自身を責めた。「一つも二つも成長しないといけない。チームに対して申し訳ない」と反省の弁を並べた。
プロ1年目から白星がなかった広島相手に通算8試合目の先発でも勝てなかった。それでも今季の奪三振数はこの日の6を加えて89とした。88の同僚メッセンジャーを抜き、98の巨人・菅野に次ぐリーグ2位に浮上。奪三振率9・21は同1位を守って意地を見せた。
チームは12年7月以来となる借金7を抱え、岩貞自身も4勝5敗とついに黒星が先行。4月に発生した大震災の後、今度は記録的豪雨に見舞われた故郷熊本に白星を届けることはできなかったが「六回以降のテンポのいいピッチングをやっていけるように、しっかり意識してゲームに臨めるようにしたい」と前を向いた。首位広島と10・5差の苦境から巻き返すためにも、次戦こそ背番号17の白星が求められる。