掛布2軍監督、坂井オーナーと極秘会談
阪神・坂井信也オーナー(68=電鉄会長)が27日、掛布雅之2軍監督(61)、四藤慶一郎球団社長(55)と大阪市内で3者会談を行った。坂井オーナーは今月18日には金本知憲監督(48)とトップ会談を行っており、シーズンの折り返しで2人の現場トップを慰労、激励。「超変革」を掲げるチームの現状、若手の現在地について、ミスタータイガースの解説、報告を受けたものと思われる。
梅雨空の夜、坂井オーナーと掛布2軍監督、四藤球団社長がテーブルを囲んだことが判明した。会談の全容は明らかにならなかったが、対話の本筋が苦境に立たされる1軍本隊に及んだことは想像に難くない。昨オフ「一度、チームをつぶしてしまって」と、金本&掛布両監督に抜本改革を託した総帥にとって、現状と展望はシーズンの節目で確認しておきたいところ。既に交流戦終盤の18日に金本監督と会談を済ませており、長丁場の折り返しで2人の現場トップと腹を割って意見交換を交わした格好だ。
交流戦で4つ借金を抱え、再出発に臨んだ金本阪神はリーグ戦再開の広島3連戦で3連敗。指揮官は戦前「このチームは波に乗れば強い」と選手を鼓舞したものの、鯉との勢いの差は歴然。首位とは10・5ゲーム差、12年以来の借金7で、早くも窮地を迎えた。
坂井-掛布会談は2週間ほど前から予定されていたため、このタイミングでの開催に「緊急性」の意味合いはない。それでも、「1軍が優勝することが大切。上(1軍)がすべて」と語るミスタータイガースの中間報告が、1軍戦力に直結する内容であったことは間違いないだろう。
負けが込めば周囲の声は厳しさを増す。坂井オーナーと金本監督との会談では外国人打者の緊急補強の話題にもなったようだが、指揮官はこれを固辞。昨オフは球団が調査を進めるFA選手の補強も拒んでおり、生え抜きを育成するという、固い信念を貫いている。
掛布2軍監督は「(1軍の)優勝と若い力が出てくること。このイコールは一番難しいんだよ」と言う。だからこそ、リーグ戦再開前に「育成しながら勝っていく。Bクラスでいいとはこれっぽっちも思っていない」と語った金本監督の苦悩を思いやる。開幕前から1、2軍両指揮の情報交換は頻繁に行われており、かねて坂井オーナーも「それについては何も心配していません」と話していた。
金本監督は交流戦終了後、不振の高山を2軍遠征に預けるなど、掛布2軍監督への信頼は厚い。坂井オーナーも自ら獲得を希望したドラフト1位の“現在地”について、掛布2軍監督から報告を受けたと思われる。この日1軍昇格が決まった江越をはじめ、現在2軍で調整を続ける陽川、横田…有望株への期待は尽きない。
「金本監督は指導者として経験がないと言われるが、フロントが一層の支援体制を敷きともに戦っていく」。昨秋、総帥はそう語った。ミスタータイガースとともに、フロント-現場の一枚岩を再確認する夜になったはずだ。