“死線”15・5差も球児、前向くだけ
「阪神0-9広島」(10日、甲子園球場)
阪神が今季6度目の完封負け。首位・広島には15・5ゲーム差となり、1963年に西鉄が記録した史上最大の逆転優勝、14・5ゲーム差のデッドラインをついに越えた。借金は今季ワーストの12。藤川球児投手(35)は試合後、現状を重く受け止め「前向いてやるだけ」と覚悟を示した。
勝利の六甲おろしは響かない。どちらがホームか分からない。0-9という屈辱的な敗戦。真っ赤な応援団の大歓声を遠くに聞きながら、6番手で登板した藤川が、ゆっくりとクラブハウスへと歩く。あまりに重い流れ。広島に喫した2カード連続の3連戦3連敗。感じるものはあった。
「責任を感じています。(大事なことは)目の前の、一つのゲームに集中することじゃないですか」
右腕が背負う敗戦ではなくても、主力の一人である責任が、言葉となって出てくる。12年以来の借金「12」で、最下位から変わらぬまま。勝利を信じるスタンドのファンの期待に応えられているとは言えない現状。この日もそうだった。
乱調の岩貞が1回1/3で降板。8点を追う四回から安藤を投入。さらに9点差に広げられてからマテオが2回を投げ、藤川は八回から登場。1死満塁のピンチを迎えながらも無失点で抑えると、九回には守護神のドリスもマウンドへ。チームの苦しい現状を表すような投手起用となり、さらに打線もゼロ行進ではどうしようもない。
金本監督は打線について問われ「相変わらず。特に変わってない」と振り返った。二回までの8失点で劣勢の中、三回の攻撃前にはベンチ前の円陣で自らジェスチャーも交えながら「ファンもいっぱい入っているから楽しませろ」というような声を上げたもよう。だが、結果にはつながらずに今季6度目の完封負けを喫した。
これで広島に7連敗。悪い流れは止まらない。「選手一人一人しかないから。今、流れ悪いのは誰が見ても分かる通り、そう感じてるし。これを打破するのは監督やコーチじゃないからね。選手個人個人、一人一人しかないからね」。最後の責任は背負うがグラウンドで戦うのは選手。それは忘れて欲しくない。
首位・広島とのゲーム差は15・5。史上最大ゲーム差からの逆転Vが、14・5差(63年・西鉄)のため、デッドラインを越えた。藤川は「(今はチームのまとまりが大事かと問われ)まとまりと言うよりも、勝たないとね。前向いてやるだけです」と話す。うつむいていても何も始まらない。目の前の試合に勝てるように、前を向いて戦うだけだ。