原口代打同点打!夢舞台満喫、De山崎康と高校以来のバッテリー

 「マツダオールスターゲーム・第2戦、全セ5-5全パ」(16日、横浜スタジアム)

 超変革で頭角を現した若虎たちが、存在感を見せつけた。全セは1点を追う七回、阪神・原口文仁捕手(24)が代打で登場。球宴初打席で左越えに同点二塁打を放った。九回には帝京高の後輩、DeNA・山崎康晃投手(23)とのバッテリー復活で無失点。三回から2番手で登板した阪神・岩貞祐太投手(24)は、2回を無失点に抑えた。

 シンデレラストーリーには、まだ続きがあった。3-4の七回1死二塁。原口は戸柱の代打で登場すると、有原の直球を見事に打ち返した。横浜の夜空に舞った打球は左翼を越え、フェンスを直撃。二走・鈴木が同点のホームを踏み、自身は二塁で大声援を全身に浴びた。

 「1打席しかないと思って集中していきました。一発で仕留められて良かったですね」

 前日の第1戦は守備のみの出場で、これが球宴初打席だった。阪神選手のオールスター初打席初安打は、13年の藤井彰人以来。金本監督は「落ち着き払ってね。2打席目も芯に当てよったから」と一打を褒めちぎった。

 そして、九回。夢のバッテリーがオールスターで復活。原口は“康晃ジャンプ”に揺れる横浜スタジアムのマウンド上で、後輩の到着を待った。母校・帝京高の1学年後輩、山崎康。青春時代の記憶が脳裏を駆け巡る。それは、右腕も同じ。夢の共演の可能性を信じていた試合前、懐かしそうに7年前の夏を思い出していた。

 「実際にユニホームを着て会ったのは、高校の時以来ですかね。僕自身、影響を受けた先輩の一人でもあるんですよ。今は、恐れているバッターの一人でもあるんですけどね」

 この日、球場に到着するとすぐ横に原口がいた。「ロッカールームが隣だったんです(笑)」。上下関係が厳しい帝京の中で、原口の印象は「温厚な人」。さらに、真剣な表情で当時を振り返った。

 「几帳面(きちょうめん)なんですよね。レガースに泥とかが付いていると、すぐ気づいて払うんです。そういう部分で抜け目がなかったですね。バッテリーを組むときもありがたかったです。僕おおざっぱなので」

 09年夏は母校を2人で8強まで導いた。息はぴったりのはずだったが…。九回の初球。何度も首を振った結果、後輩が投じたのはまさかのナックル。原口は「いい球ですね」と苦笑いを浮かべ、ミットに残る感触をかみしめるように味わった。

 「いろんな経験をできましたが、明日(17日)からまた厳しい戦いが始まるので。できることをしっかりやっていきたいです」

 夢に見た球宴は、本当に夢のような瞬間の連続だった。この時間を、後半戦の戦いに生かしていく。原口の夢にはまだ先がある。

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