阪神・西岡、選手生命危機 左アキレス腱完全断裂判明で手術不可避
20日の巨人戦(甲子園)で左アキレス腱を断裂した阪神・西岡剛内野手(31)が21日、大阪府内の病院で再検査を受け、同部の完全断裂が判明した。プロ野球の第一線で完全復帰を目指すとなれば、前例を見ても手術は不可欠。プレー再開まで1年近くを要した症例もあるため、野球生命の危機に面したとも言える。メンタル面を含め、再起へ向けた決断は西岡本人に委ねられる。
西岡はこの日、MRIによる再検査を受け、左アキレス腱の完全断裂と診断された。アクシデントが起こった前夜、甲子園から直行した病院で腱の断裂は確認されていたが、一夜明けて「最悪」の結果が待ち受けていた。
野球界に携わる医療専門家によれば、アキレス腱の完全断裂から万全の状態でプレー復帰するためには手術が不可欠だという。さらにリハビリは地道かつ長期間に及ぶため、相応の根気と覚悟を要する。
一般的に歩行可能まで約3カ月。体力差や程度にもよるようだが、1995年に同箇所を完全断裂した広島・前田智徳のように術後、野球動作を再開するまで1年近くかかった例も少なくない。
球団のトレーナー陣は西岡の容体について一様に口をつぐんだが、球団首脳の一人は「原因がはっきりしなければ、リハビリもより慎重にならざるを得ない」と、西岡のメンタル面を懸念する。
何かに激突、あるいは選手間で接触して腱が切れたのであれば原因は明確だが、単純に走塁中の断裂となれば、筋肉の付き方がどうだったのかなど繊細に究明し、慎重にリハビリを続けなければならない。原因が曖昧のままなら、西岡本人が来年のプレー再開までこぎつけても必ず恐怖心がつきまとい、必要以上に再発の怖さと闘わなければならない。
前夜、西岡は泣いていた。瞬間的に症状の重さを自覚できたのだろう。14年には開幕直後の巨人戦で福留と激突し骨折。昨年5月には右肘靱帯(じんたい)の損傷が発覚した。今季は左太もも裏の痛みで途中離脱し、再昇格後は右肩の痛みを抱えながらプレーを続けていた。阪神移籍後はまさに満身創痍(そうい)。ケガに悩まされ続け、西岡に近い関係者によれば、昨季は現役を退く選択肢も頭をよぎったという。
金本監督から熱いスピリットに信頼を寄せられ、再起を誓った16年シーズン。「うちの監督が優勝と言っている以上、選手はそこを目指さないといけない」。球宴後はそう語り、チームの先頭に立つ覚悟を示していただけに、悔しさがこみ上げてきたはずだ。
選手生命を左右する岐路に立たされた。もう一度、自らを奮い立たせて再起を目指すのか、それとも…。西岡本人の決断を待つしかない。