狩野、九回代打から2打席連続適時打 3カード連続勝ち越し
「DeNA5-7阪神」(4日、横浜スタジアム)
最後まで絶対にあきらめない金本野球を体現した。阪神は3-5の九回1死二、三塁、代打・狩野恵輔外野手(33)の適時内野安打でまず1点。さらに江越大賀外野手(23)の右犠飛で同点に追いついた。延長十回は押し出し四球で1点を勝ち越すと、再び狩野が中前へ2打席連続タイムリー。これで今季初の3カード連続勝ち越しや!
本当に頼りになる仕事人だ。代打の神様がまたも大きな仕事をやってのけた。2点を追う九回、ハマの守護神から執念の適時内野安打で逆転勝利につなげた。最後の最後まであきらめない金本阪神の執念を狩野が体現した。
最初の出番は九回1死二、三塁。狩野の狙いは打席に入る前から定まっていた。「もちろん最初からいこうと思っていました」と山崎康が投じた初球、139キロツーシームをフルスイング。打球は遊撃・倉本のダイビングキャッチで中前打とはならなかったが三走・原口を生還させた。
「きれいなヒットがいいですけど、出る時はああいうヒットでもいいと思って(打席に)立っている。きれいなヒットではないですけど、いいヒットだったと思います」と狩野らしい泥くさい適時打に胸を張った。
山崎康とは前夜3日にも代打で対戦し、3球三振に倒れていた。「昨日は山崎君の前に三振したので、どうにか打ってやろうと思っていました」。敵の武器ツーシームを積極的に打ち返し、きっちり借りを返した。
ダメ押し打も狩野だった。そのまま左翼守備に就いていたことで延長十回の好機で再び回ってきた。1点勝ち越してなおも2死満塁。2ストライクからの3球目、左腕ザガースキーのスライダーを中前にクリーンヒット。追い込まれてからバットを短く持ち直して、放った殊勲打だった。
いつ出番がくるか分からない中で準備を整え結果を出す。狩野は「それを仕事というか、そこで行ってくれと言われるので、どうにか僕も結果を出したいですし、期待に応えたい」と平然と答える。
試合だけではない。シーズンに臨む準備も万全だった。今春のキャンプ、16年目のベテランは主力組の宜野座ではなく安芸にいた。若虎に交じって一切の手抜きをしない狩野の姿があった。掛布2軍監督が「あまりにも狩野の状態がいいので、若手を(1軍に)推薦しづらいよ」と漏らすほどだった。
途中出場で2打数2安打2打点。ベテランの二振りがチームを今季初の3カード連続勝ち越しに導いた。3位・DeNAとは4ゲーム差とした。金本監督は「最近、終盤に追いつき、勝ち越しという試合が増えてきた。執念というものが出てきつつあるのかな」と好感触を口にした。
狩野も「チームがいい状態なので、僕もそれに乗っていきたい。もっともっとチームも勝って、自分も打てれば」と宣言。背番号99が猛虎の大逆襲を演出する。