藤浪2カ月ぶり勝った!「ホッとしたというのが一番です」

 「ヤクルト0-8阪神」(5日、神宮球場)

 やっと勝った。7試合連続で白星から見放されていた阪神・藤浪晋太郎投手(22)が、7回2安打無失点の好投。6月2日・楽天戦以来、64日ぶりとなる5勝目を挙げた。長いトンネルを抜けた右腕の復活星で、チームも連勝。3位・DeNAに3ゲーム差に迫った。

 勝利投手に似つかわしくないコメントだ。敵地でのヒーローインタビュー。8試合ぶり白星も喜びは控えめ。神宮球場の大歓声を全身に浴びながら、藤浪は決意を新たにした。

 「ホッとしたというのが一番です。うれしいですけど、逆に気を引き締めないといけないと思いました」

 7回2安打無失点も納得の投球ではない。初回、1番・大引への四球、ボール先行のシーンも多々あった。ただ、最速156キロに変化球を織り交ぜ、自己ワースト5連敗に終止符。長く暗いトンネルを抜けたのは事実だ。

 打席でも執念を燃やした。1点を先制した二回、2死一、三塁。「バットに当てれば何とかなる」。デイビーズのスライダーを狙い打ちし中前へ運んだ。昨年8月14日・ヤクルト戦(神宮)以来となる今季初タイムリー&初打点。気分を良くして投球につなげた。

 7月上旬、初回失点を繰り返す姿に金本監督の怒りが爆発。161球の懲罰続投が賛否を呼んだ。ただ、藤浪自身、常に危機感を抱いていた。5月下旬はつい本音をこぼした。

 「いきなり登録抹消があるかもしれない。覚悟しています」

 それまで試合後の指揮官のコメントに厳しいものはなく、中には右腕の状態を気遣うような言葉も。監督就任直後からエースとして期待してもらっていただけに、応えられない現状が歯がゆかった。

 6月の休日、西宮市内のグラウンドへ車を走らせた。母校・大阪桐蔭高の練習試合をこっそり観戦するためだ。そこにお目当ての選手がいた。スーパー中学生として全国に名をとどろかせ、同校に入学した根尾昴君だ。「すごくいいピッチャーでした。真っすぐの球速も、147キロ出ていた。スライダーも切れていました」。母校は惜しくも甲子園出場を逃したが、ナインの姿に気分一新。沈みがちな心に、かすかな光をもたらしてくれた。

 「ストライク先行になれば言うことないのになあ、と(笑)」

 金本監督は胸をなで下ろしつつ、笑みを交えて本音を漏らした。不本意なシーズンを送っていても、周囲の期待値は高い。もちろん藤浪自身が一番理解している。「1つ勝ちが付きましたけど、全然見れる成績ではない。何とか取り戻していきたいです」。ようやく今季5勝。借金はまだ2つある。チームの勢いに乗って、残り登板すべて勝つ覚悟だ。

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