陽川 駆けつけ弾!2軍戦移動中も緊急昇格即先発で豪快2ラン
「阪神6-8DeNA」(15日、甲子園球場)
緊急昇格にも動じず、一発回答してみせた。敗戦ムードが漂う中、一筋の光が差し込んだ。バックスクリーン右横に飛び込む2ラン。特大のアーチをかけたのは、阪神・陽川尚将内野手だった。
「きょう1軍に上げてもらって、すぐにスタメンで使ってもらえて、とにかくがむしゃらに一球一球やっていこうと思っていた」
139日ぶりの本塁打は勝負どころで出た。3-5とリードを許していた六回1死一塁。それまで2打席凡退していたが「1打席ごとに切り替えて、甘い球を打てたのはよかった」と、DeNA先発・石田の投じた125キロ変化球を完璧に捉えた。バックスクリーン右のスタンド中段に届く特大弾。一時、同点となる価値ある一発に片岡打撃コーチも、「持ち味である長打を出してくれた」と褒めたたえた。
この日は2軍練習後、ウエスタン・広島戦に帯同するため、昼過ぎには移動を始めていた。しかしその道中で昇格の連絡。すぐさま甲子園に向かった。道具は「(遠征先に)きのう送った」と、現在使っている愛着のある道具ではなかった。ドタバタの中、結果を残した。
慌ただしい日だったが、やってきたことは変わらない。昇格の声がかかるまで、打棒を磨いてきた。掛布2軍監督からは軸足を注視されていた。「右足の粘りだったり、ブレないように意識してきた。それがうまくハマっているから継続している」。右足が折れる癖を矯正。打つときの間ができ、課題であった「ボールの見極め」もできるようになった。2軍戦では最近4試合で3本塁打。結果も出始めていた。
目指すはレギュラー定着。打つだけではポジションは取れない。本塁打を打った直後の七回1死一塁では、関根の邪飛に目測を誤り落球。その後、メッセンジャーが三塁打を浴びて勝ち越し点を許した。「投手に申し訳ない」とうつむいた。
「もっと練習しないと」。この悔しさを糧にする。攻守に磨きをかけて、必ず定位置をつかむ。