猛虎戦士の通知表…セイバーメトリクスを基にするとMVPは藤浪

 「セイバーメトリクスで占う鳥越規央の傾向と対策」

 今回はセイバーメトリクスにおける選手の総合指標WARを基に、今季のタイガースに通知表を渡しましょう。

 チーム単位で見ると、投手力はリーグ3位で、他チームと比べても遜色のない数値なのですが、野手WARはリーグ断トツの最下位。長打が期待できない攻撃力不足に加え、圧倒的な守備力の欠如。特に二遊間、捕手のいわゆるセンターラインにおける守備力は優秀な投手力の足を引っ張る形となってしまいました。これは今季優勝の広島との大きな差ともいえるでしょう。

 個人の評価では、シーズンでローテーションを守った先発投手4人の貢献は大きく、現在のタイガースの屋台骨となっています。またシーズン当初は不安定だったドリス、マテオの救援陣も昨年の呉昇桓並みの貢献度を示しています。

 野手に目を向けると福留の貢献が光ります。今季は積極的な若手起用と銘打ってオーダーを組んできましたが、結局、野手最年長の福留頼みという構図は変わらないままでした。

 そんな中、原口の3・0、北條の1・4は来季以降に期待を持たせる証しとなることでしょう。

 さらに言えば、タイガースのウイークポイントである守備の改善に大和の存在は不可欠です。攻撃面でのマイナス要素を大きく上回る守備のプラス評価でチーム5位の貢献度を示しています。大和の守備でどれだけ投手陣が助けられたかを物語っています。

 ちなみに、藤浪の野手WARが0・3、メッセンジャーがマイナス0・2なので、WARで評価する今季の最大貢献者、MVPは藤浪。彼の存在によってチームに4・4勝分の上乗せができたという評価となります。

 19日の甲子園でようやく巨人に一矢報いたタイガース。しかし時すでに遅し、4年ぶりのBクラスが確定です。デイリースポーツの報道で「フロント主導で金本体制検証」とありましたが、フロントの皆さまには、主観や経験則でなく、データによる客観的分析で、現在の阪神に必要な戦力の補強をされることを望みます。

 ※WARとは 打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標。控え選手が出場する場合に比べてどれだけチームの勝利数を増やしたかを示す。メジャーでは年俸査定に使われることもある。

  ◇  ◇

 鳥越規央(とりごえ・のりお) 統計学者。大分県中津市出身、47歳。野球統計学(セイバーメトリクス)を駆使した著書は『本当は強い阪神タイガース』(筑摩書房)『スポーツを10倍楽しむ統計学』(化学同人)など多数。所属学会はアメリカ野球学会、日本統計学会など。JAPAN MENSA会員。

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