「広島１－４阪神」（２２日、マツダスタジアム）

　打った本人も驚く、技ありの一打だった。コンパクトなスイング。打球は左翼スタンドにライナーで突き刺さる。阪神・北條が初めてマツダスタジアムでアーチをかけた。「追い込まれていたけど、体がうまく反応した。感触はよかった」。先制の４号ソロがチームを勝利へと導いた。

　相手は広島・ジョンソン。四回先頭で迎えた第２打席だった。カウント３－２から勝負を決めにきた内角直球に対し、くるっと回転。この日のチーム初安打は、貴重な先制ソロとなった。リードオフマンが難敵攻略の突破口を開き、来日２年目にして初めてジョンソンから白星を奪った。

　「ジョンソンに負けを付けられてなかった。みんなもそういう気持ちでやっていたと思うし、負けを付けられてよかった」

　１軍に定着した今季。常に意識は高く持っている。金本監督らから指導を受け、自身も考えながら取り組んでいる。この日の試合前練習でもフリー打撃が終わった後、防球ネットに近づき、わずかな隙間で何度もスイング。「体が開き気味だと思ったので、きょうはネットを使って（意識付けさせた）」。厳しい内角の球にも、開かず放った本塁打。それは自ら工夫して練習した成果だった。

　完璧な一打にも満足はしない。「もう１本打ちたかった」。２－０の七回２死二塁でも中前に鋭いライナーを放ったが、丸の好捕に阻まれた。シーズン１００安打まであと「２」だが、あくまで通過点。さらに安打を積み重ねていく。