福原号泣引退会見…高校の先輩・金本監督を胴上げしたかった

 苦しかった頃を振り返り、涙を流す福原(撮影・田中太一)
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 阪神・福原忍投手(39)が23日、西宮市内のホテルで現役引退の会見を行った。会見冒頭のあいさつから涙を流し、支えてきてくれた人への感謝の思いを何度も口にした。投手キャプテンに就任しながらも、金本監督を胴上げできなかったことを悔やんだが、その夢は後輩たちに託す。引退試合となる10月1日の巨人戦を最後に、18年間袖を通したタテジマに別れを告げる。

 支えてくれた人たちの顔が浮かんだ。18年分の思いがこみ上げてくる。会見の冒頭、決断のあいさつの最中。福原の声が震えた。「いろいろな方に支えられて、18年間現役生活を続けることができました。本当に感謝しています」。決壊した涙腺。うつむき、何度も目を拭う。涙、そして涙の引退会見だった。

 「(まだできるかもという)そういう気持ちもあって、ずっと迷ってた部分はありましたし。まだできる、まだできるという気持ちと、引退しようという気持ちが日々入れ替わるというか。そういう感じでしたね」

 気持ちが右に左に揺れていた。8月に入ってから、そんなもどかしい毎日を過ごした。大きなケガをしているわけではない。ただ、マウンドに上がればイメージと違う現実に襲われる。周囲に期待に応えきれない現状も重なった。苦しかった。

 「調子が上がらないというか、自分で空振りを取れると思ったボールがフライになったりホームランになったりとかあって、そういう面でいろいろ考えながらしてました」

 葛藤の中、引退を決めたのは数日前。「『引退する』と嫁さんに言いました。『お疲れさん』と、そういう言葉をいただきました。(子供は)『まだ、ユニホームを着てほしい』というのも言っていましたし」。決断までに相談した下柳氏や桧山氏らの先輩には「まだやれるやろ」とも返された。全ての、心からの言葉が身に染みた。それでも、後悔はない。

 山あり谷ありの野球人生。一度は諦めかけた。02年に受けた右肩関節唇損傷修復手術。「本当に治るかどうか、ボールを投げられるのかという不安もあった」。絶望からはい上がり、10年はプロ初の未勝利に終わったが、11年から5年連続で50試合に登板。年齢を感じさせない投球がファンの心を揺さぶった。

 投手では最長のタテジマ一筋18年。幸せだったが心残りもある。「(監督への引退報告で)『本当にチームの力になれなくて、監督の力になれなくて申し訳ない』と。現役も一緒にやらしてもらって、高校の先輩ですし、何とか監督を胴上げしたいと思っていました」。背番号「6」を宙に舞わせたかった。その夢は後輩に託す。

 「ぜひ日本一になってほしいですし、そのためにしっかり練習をして、強いタイガースをつくってほしいと思います」と福原。多くの支えがあったから、ここまで来られた。涙の理由となった尽きることのない感謝の思い。10月1日、巨人戦。ありったけの思いを白球にぶつける。

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