北條100安打!藤田、掛布、新庄に続く虎高卒野手4人目
「中日0-2阪神」(24日、ナゴヤドーム)
伸び盛りの男が、虎の歴史に名を刻んだ。阪神・北條史也内野手(22)が、自身初の2試合連続本塁打となる5号ソロを含む2安打。阪神の高卒4年目以内の野手では、1993年の新庄剛志以来となるシーズン100安打に到達した。3連勝で6位・中日に2・5ゲーム差。4位・ヤクルトに1ゲーム差に迫った。
手応えのある打球だった。2-0で迎えた六回の先頭。先発・吉見の直球を振り抜くと、ボールはワンバウンドで右中間フェンスに到達した。節目の今季100安打目は「ライナーを打つ意識でやっています」と、その言葉通り会心の二塁打。成長が止まらない。4年目の北條は立派な虎のリードオフマンだ。
三回2死では低めのシュートにうまく反応し、2試合連続となる5号ソロを左翼席に運んだ。「入ると思わなかったです」と振り返ったが、打球は失速しなかった。藤田平、掛布雅之、新庄剛志の3人しかクリアできていない球団高卒野手4年目以内での100安打。実力を、結果で証明した。
金本監督も「もう少しスイングする力がついてくれば、楽しみな選手になってくる」と成長に期待を寄せる。だが、ここまでは苦しんだ。自身と向き合い、戦い続けたファームでの3年間をなくして今は語れない。特に入団1年目は体も小さく、2軍首脳陣は育成に頭を悩ませていた。
「肩は弱いし、打球も全然飛ばない。『本当にプロでやっていけるのか…』と思った」
当時2軍監督を務めていた平田チーフ兼守備走塁コーチは、懐かしそうに振り返る。過度な右打ちの意識を掛布DC(現2軍監督)が、膝を柔らかく使う“ひげダンス打法”で修正。毎日夜間練習まで徹底的に振り込み、次第に高3夏の甲子園で4本塁打を放った打棒が戻ってきた。
14年のみやざきフェニックス・リーグでは「長打率を上げる」と目標を掲げながら打率3割台をキープ。同年の21Uワールドカップでは広島の“神ってる”鈴木と競争し合い、二塁手部門のベストナインを獲得した。昨年の2軍戦では10本塁打を放ち、自信を得た。
「ヒット数は考えず、(現在の打率・271から)打率・280を目指していきたいです」
北條にとって100安打は通過点にすぎない。来季こそ、遊撃の定位置を実力で不動のものにする。「鳥谷さんを超えたいです」と語り続けてきた22歳がまた一段、レギュラーへ続く階段を上った。