高山136安打!阪神球団新人最多 逆転サヨナラ口火打で坪井超えた
「阪神2-1巨人」(30日、甲子園球場)
黄金ルーキーが球団史を塗り替えた。阪神・高山俊外野手(23)が九回、サヨナラ勝ちの口火を切る投手強襲安打。98年の坪井智哉を抜いて、球団新人最多安打となる136安打目で今季初の6連勝を導いた。今季最終戦となる1日の巨人戦。7連勝で激動の超変革元年を締める。
雨上がりの甲子園で拍手と歓声のシャワーを浴びる。塁上に高山の笑顔が浮かんだ。駆け抜けた一塁ベースがトップに立った証しだ。劇的なサヨナラ劇を導き、猛虎史を塗り替えた球団新人安打記録達成の一振り。苦しい展開だったからこそ、彩りも増した。
「甲子園でこういう数字を打てたのが良かった。厳しい展開で、勝ちにつながる一本になって良かった。笑顔は自然に出ました」
みんな待っていた。だから打ちたかった。1点を追った九回1死。そこまで3打席は、内海に対して無安打に抑えられていた。それでも、ひるむことなく積極的に打ちに出た。
「常にどういう投手でもデータはありますけど、九回でああいう展開でしたし、内海さんのままだったとしても、変わらずに打席に入っていたと思います」
力強くはじき返した初球の変化球。執念が白球に宿る。鋭くはねた打球は沢村の右足に当たって三塁へ。さらに村田も捕球しきれず転がった。投手強襲安打で、98年・坪井智哉の記録を更新する136安打目だ。
さらに続く原口の左前打では一気に三塁に滑り込んだ。「自分も(左翼を)守っていて投げづらいと思っていたし」。打つだけじゃない。冷静に燃えたプレーで、流れを一気に加速させた。
負ければ21年ぶりとなる球団ワースト2位の甲子園37敗目だったが、今季初の6連勝へつないだ。チームとして苦しい戦いが続いた中、到達した新記録が今季の成長を示す。あとは1日の今季最終戦。今季14度目の猛打賞を達成すれば、長嶋茂雄に並ぶ新人最多猛打賞記録となる。
「正直、今日、3本打ちたい気持ちはありましたけど、明日最後ですし、1年間甲子園で応援してきてくれたので、数字は意識することなく勝てるようにやりたい」と高山。手が届くかどうか。ただ、いずれにしても、そこがゴールじゃないことは分かっている。
「そろそろ打つころかなと思って見ていました。(3打席無安打からの安打に)それが大事。1死から出て勝ちになるのだから」
そう言ってたたえた金本監督は、シーズン後のフェニックスリーグに高山を参加させず、手元に置いて秋季練習で改めて鍛える考え。期待値は高い。まだこれから。目指す場所はずっと先にある。