【超変革を検証】苦手解消に課題残すも岩貞、青柳ら“新顔”が登場
今季の阪神は天敵、鬼門の解消を目指して、先発ローテを編成した。就任直後、香田投手コーチは「なぜ苦手なのか理由があるはず。逃げるんじゃなくて、突き詰めたい。体調は別だけど、みんな同じリズムでローテを回っていくのが理想」と基本方針を示していた。
ここ数年、チームはローテを編成する上で「相性」を重視していた。昨季まで広島戦は能見が中心。巨人戦に限ると、ローテを再編成してまでメッセンジャー、藤浪、能見、岩田の4本柱をぶつけていた。その弊害が生まれていたのも事実だ。巨人戦を意識するあまり、他球団に星を取りこぼし、巨人戦も9勝16敗と大きく負け越した。球場も同様だ。甲子園は藤浪、マツダスタジアムは能見が主に登板。メッセンジャーは首脳陣の配慮で相性の悪いマツダスタジアムや神宮での登板を回避していた。
超変革を掲げた今季は一新。メッセンジャーも鬼門の神宮とマツダで先発。しかし結論から言うと苦手克服には至らなかった。神宮では2試合で0勝1敗、防御率7・27、マツダでも2試合で1勝0敗ながら、防御率10・24と打ち込まれた。
メッセンジャーは「言われたところで投げる」と歓迎しつつも「(マツダでは)本当になぜだか分からないんだ。スタジアム自体は嫌いじゃないのに、いいピッチングをしても打たれてしまう。とにかく不運なことが起こるんだ」と首をかしげる。その2球場以外では防御率3点以下だから鬼門のアレルギーは深刻だ。藤浪も昨季から苦手にしている広島戦の登板が続き、7試合で1勝4敗と黒星が先行した。
特別扱いなしの起用法はマイナスばかりでもない。怖いもの知らずの新たなGキラーを生み出した。今季からローテに定着した岩貞は、巨人戦4試合で3勝0敗、防御率0・58。プロ初完封も東京ドームでマークした。
変則右腕ルーキー青柳も伝統の一戦の舞台で強心臓を発揮。4試合で1勝3敗ながら、防御率2・10と同一リーグで最も得意とした。中でも長野には9打数無安打、坂本にも6打数1安打。「長野さんと坂本さんが、嫌だと言っていると聞いています」と自信につながったという。
チーム防御率3・38はリーグ2位。エース藤浪の不振は計算外だったが、岩貞、青柳ら超変革元年を象徴する新顔も登場した。香田コーチは「能見はいろんなところで投げてくれたし、晋太郎もいろんなところで投げた。メッセンジャーはマツダでね…。これも目の当たりにして改善策というか避けるとか、これから必要になってくるかもしれない」と総括。超変革2年目へ向けて、柔軟なローテ編成を描いている。