【超変革を検証】捕手陣の収穫と課題
超変革というスローガンを重く受け止めていた。だから、矢野作戦兼バッテリーコーチは思いきって若手を抜てきした。「超変革というところでスタートして、キャッチャーが一番当てはまるというか変えていかないといけないところだったから」。痛みも伴うような起用も、先を見据えたものだった。
引退を発表した鶴岡を除くと、今季先発出場した捕手は岡崎、清水、梅野、原口、坂本の5人。その中で最も多い68試合でスタメンマスクをかぶったのは、今季育成でスタートした原口だった。さらにルーキーの坂本も18試合のスタメン出場を記録している。
経験が武器となるポジション。チームが変革の一歩を踏み出した中、来季以降につながる場数を若手らが踏めたことは、収穫と言っていい。ただ、来季も同じではいけない。勝てるチームを目指していく上で、そこが課題となる。
「(今季は)どこまでできるかとか、評価の年だったと思う。これ(複数の捕手で回す形)をやってるようでは強くないしね。3試合で3人ともキャッチャーが違うのは、いいことではないから」
理想はレギュラーの捕手を固めること。もちろん今季からできれば良かったが、1人に固めきれない現状もあり、投手によって捕手を変える起用もあった。「それは本当はしたくないけど、いろいろと総合したらそうなってしまった」。来季に持ち越された反省材料。それはチームとしてだけでなく、矢野コーチ自身にもあった。
「ある程度強制させないとダメな部分もあった。任せるのはもうちょっと先なのかなと。土台を作るために、強制的な部分がもう少しあっても良かったなというのが反省」
捕手のリードには、答えがないとも言われる難しさがある。だから、まず選手の個性を尊重した。「僕の中の答えを、こうしろとか言いたいけど、僕の色に染まったキャッチャーばかりになっても意味がない。それぞれの長所や短所、発想とかがある中でなるべく我慢したくて」。どこまで言うべきか。そのラインの設定に迷った1年でもあった。
選手への期待や信頼は変わらない。その上で、来季はより動き、多くの要求をぶつけていく。「来年、(1人で)任せられるぐらいに誰か伸びてくれるかというと、望みすぎかもしれない。ただ、ある程度目星というか、来年も競争だけど、その競争をもっと絞るというかね」。今季よりもさらに変革を進める必要性。ふるいにかける作業は、秋季練習から始まっている。