金本監督、深夜の決断 前日まで佐々木指名、覆した大山の潜在能力

 「プロ野球ドラフト会議」(20日、グランドプリンスホテル新高輪)

 阪神・金本知憲監督(48)が20日のドラフト会議で、これまでの戦略を一気に覆し、サプライズ指名に踏み切った。前日のスカウト会議を終えた深夜、白鴎大・大山悠輔内野手(22)の資料映像と向き合い、「ヤクルトの山田に似ている」と惚(ほ)れ直した。早くから1位指名を決めていた桜美林大・佐々木千隼投手(22)から急転。2位から8位も金本色の濃い素材重視の指名になった。

 え~~!張り詰めた会場内にどよめきとため息が混在した。補強ポイントは完成された即戦力投手。今ドラフト戦略について、球団幹部はかねて最優先の補強ポイントをそう明言していた。前日のスカウト会議後も、サプライズは?と聞かれた金本監督が「ない」と即答。夏場から「1位」で一本化した桜美林大・佐々木の指名を再確認していたが、一夜明け、急転した。

 「(1位指名は)基本的には投手だったんですけど、うちのチーム事情から(急きょ)野手でいこうということになりまして…。今、投手と野手でどちらが優先かと考えたとき、やはり野手かなと。決めたのは、今日のお昼ぐらいです」

 真夜中の決断だった。最上位は今夏からほれ込んでいた佐々木でいく。12時間前まではそう思っていた。が、もう一度頭を真っ白にして考えた。前日のスカウト会議後、四藤球団社長ら幹部、スカウト陣と都内の料理店へ出掛け、帰宿してラウンジで2次会。その後、自室で午前2時までスカウト作成の資料ビデオと向き合った。そして、深夜改めて心をわしづかみにされたのが、中央では無名のスラッガー、白鴎大の大山だった。

 「右の大砲候補といいますか、本当にバッティングがしなやかで強く、タイプ的にはヤクルトの山田選手にちょっと似ているかなと…。そんな雰囲気があります。若い世代の野手、右の核が少ないし…。ウイークポイントは野手だということで、満場一致で決まりました。投手は若いのがいますから…」

 ドラフト会場から桜美林大までの道程を量るなど、競合しても佐々木の指名権を得る青写真は確かにあった。だが、現実的に構想を描いたとき、野手の駒不足を補いたい思いがぬぐき切れず、大胆にシフトチェンジに踏み切った。映像に目を凝らせば、打者の血も騒ぐ。インスピレーションも働いたのだろう。導き出した結論をこの日午前、四藤社長、佐野統括スカウトらに伝えると、全員が納得してくれた。

 金本色の濃い、サプライズに満ちたドラフトは投手5、野手3の指名で幕を閉じた。12球団で佐々木の1位指名がなかったことは「予想外だった」と苦笑したが、「悔やまれる?それはない。(今ドラフトは)100点」と、胸を張った。

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