藤浪、日本最速のクイック!驚異の0秒97
阪神の秋季キャンプが29日、高知県安芸市の安芸市営球場でスタートし、藤浪晋太郎投手(22)は初日からブルペン入り。今季許した25盗塁の反省を踏まえ、「スーパークイック」で試投した。テークバックを極限まで小さくし、タイムは球界最速のDeNA・久保康と同じ0秒97を計測。侍ジャパンの強化試合も控える160キロ右腕は“日本最速”へ、課題の完全克服を目指す。
藤浪はマウンドから捕手の坂本を見つめ、ニヤッと笑った。セットポジションに入り、左足を上げると瞬く間に右腕を振る。「ボール、弱くなってますよね?」。球威に不満は残ったが「スーパークイック」の速さは想像以上。首脳陣が見つめる中で、課題克服への可能性を見いだした。
「半分遊びですけど(笑)。間だったり、タイミング(が大事)だと思います。タイムは速い方がいいです」
この日にブルペンで投げた全64球のうち、超高速クイックで投じたのは5球。山脇スコアラーによると、始動から捕手が捕球するまでの最速は0秒97秒だったという。
これは、球界で最もモーションが速いとされるDeNA・久保康と同タイム。「左足に体重を乗せて、捕手のようにテークバックを小さくして投げました」。藤浪は「イメージは久保さんですね」とはっきり言った。
目的は、盗塁の抑止力を高めるためだ。今季登板した26試合で企図されたのは34回で、そのうち許した盗塁が25。盗塁阻止率・265という低い数字は捕手の問題だけではなく、右腕の投球にも原因の一端がある。特に広島には15回企図され、成功12回とかき回された。改善すべき課題の一つであると認識している。
香田投手コーチも、スピードの向上へ背中を押す構えだ。「(久保康の)クイックはトップレベルだと思う。そういうところを目指していければ。ブルペンでも実戦でも」と“球界最速右腕”を例に出し奮起を促した。山脇スコアラーも「そこを目指したら隙のない究極の投手になると思うよ」と背中を押す。
今後は11月1日のシート打撃登板が有力で、4日の紅白戦でもマウンドに立つ可能性がある。早速、実戦の場で試す機会がある。
「しっかり投げることを意識した上でやっていきたいです」。秋季キャンプ初日に見せたパフォーマンスは、「ニュー藤浪」を予感させた。徐々に秋が深まる高知・安芸で、可能性を膨らませていく。侍ジャパンの強化試合を前に、22歳が一皮むけようとしている。