藤浪よ暴れ馬OK 侍J権藤コーチが大きな期待「菅野、大谷と三羽ガラス」
侍ジャパンは6日、QVCマリンフィールドで10日からのメキシコ、オランダとの強化試合へ向け合宿を開始した。阪神から唯一、選出された藤浪晋太郎投手(22)は12日の第3戦・オランダ戦(東京ドーム)に「第2先発」として登板することが濃厚。権藤博投手コーチ(77)は「暴れ馬でいい」と、藤浪本来の荒々しく力でねじ伏せる投球を求めた。
藤浪が侍ジャパンの戦闘服に身を包み、最終調整に着手した。日本ハム・大谷、巨人・菅野らと汗を流し、気持ちを高ぶらせる。強化試合の第3戦、12日・オランダ戦に「第2先発」としての中継ぎ登板が濃厚。17年3月の第4回WBCへ、勝負の時間が迫る。
「自分はしっかり、一生懸命プレーしたいと思います」
今季阪神では26試合に登板し7勝11敗。リーグワーストの70四球と不安定な制球で自身を苦しめ、チームを助けることもできなかった。そんな22歳に、日本代表の権藤投手コーチが熱視線を送る。大魔神・佐々木ら大投手を育て上げた名伯楽は「『すごいんだぞ』というところを証明してほしい」と大きな期待を寄せた。
「(制球が不安定で)暴れ馬になってしまうことがあるんだけど、暴れ馬でいいと思う。暴れ馬じゃないと抑えられないでしょ。短期決戦ではいいと思うよ。僕は、使いたい」
197センチの長身から投げ下ろす角度のある最速160キロの直球。外角へ逃げるカットボールも大きな武器だ。だが、何よりのストロングポイントは打者に恐怖感すら与える豪快な投球スタイル。「右打者は難しいと思うよ」。制球を気にするがあまり、小さくまとまってほしくない。
「僕は菅野、大谷と藤浪は三羽ガラスだと思っていますから」
15年3月の強化試合、日本代表-欧州代表戦以来となる侍ジャパンへの招集は、権藤コーチの推薦も大きかったという。阪神・金本監督からは「『大谷に今は負けてます。でも、そのうち勝ちますよ』と言えばいい」と強烈なハッパをかけられていた。実力を示す舞台は整っている。
「(権藤コーチの言葉は)ありがたいですし、しっかり期待に応えられるように頑張りたいと思います」
藤浪は本気だ。現状の「第2先発」という位置付けは、WBCへの招集ラインとして厳しい立場。先発投手の枠が6~7人と考えると、今回は登板機会のない大谷、菅野は当確。大リーガーと今強化試合の先発要員8投手を合わせた10人前後で、残り4~5枠を争うことになる。今回の強化試合での結果が、命運を握っていると言っても過言ではない。生き残りをかけたサバイバルでもあるのだ。
この日はキャッチボール、投内連係などで調整。大谷、菅野らとポール間走を行い会話をする場面も多く見受けられた。球界屈指の最強メンバーが集まった幕張での一日。心地よい海風を背に受けながら、藤浪の世界大会への挑戦が幕を開けた。