ドラ1大山 激戦区の三塁争い参戦表明「割って入る」
阪神からドラフト1位指名を受けた大山悠輔内野手(21)=白鴎大=が7日、栃木県小山市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円で仮契約した。第二の故郷である小山市への恩返しを誓う次代の大砲候補。「泥くさく」激戦三塁のレギュラー争いに割って入る覚悟だ。
緑豊かな人口約17万人の小さな町。大山は、小山市で育った大学4年間で「人生が変わった」と話す。心温かい市民に支えられ、つらかった日々も乗り越えてきた。プロへの扉を開けたこの日、再び感謝の気持ちが胸にこみ上げてくる。夢プランは21歳が思う、恩返しの形だった。
「一番は自分が活躍して、しっかり結果を残すことが恩返しになると思います。自分がプロ野球選手に憧れたのと同じように、子どもたちには『マネしたい』と思ってもらえるくらい、頑張っていきたいと思いますね」
小山市内の少年少女を集めた野球教室。いわば「大山杯」のような野球大会を開催するようなことになれば…夢は広がる。「町ですれ違う度に『次の試合頑張れよ』『応援してるぞ』と声をかけてもらいました」。人生を変える努力は、周囲の助けがあったからこそ続けることができた。
楽天・岡島らプロに進んだ白鴎大OBは毎年末、小山市内の子どもたちを集めて野球教室を開いているという。今年は大山も参加する予定で、恩返しへ向けた第一歩を踏み出すことになりそうだ。
小山市は14年6月に「スポーツ都市」を宣言。「市民1人1スポーツ」を推奨している。同市出身でリオ五輪競泳男子金メダリストの萩野、柔道男子66キロ級銅メダリストの海老沼は英雄的存在だ。プロで活躍し、仲間に加わりたい。夢見る子どもたちは皆、そんな背中を見ている。
「泥くさく1球1球に食らいつくような、そんな姿を見せていきたい。(阪神ファンは)温かく、すごい応援をしている感じがします。みなさんに応援してもらえるように頑張りたいと思います」
主戦場の三塁には今季終盤から鳥谷が回り、さらに中谷が挑戦し始めるなど来季は激戦必至。だが「自分も(内野の競争に)割って入っていかないといけないと思います」と覚悟を決めた。心優しき青年が、山あいの町から勝負の世界へと旅立つ。