オリックスから国内ＦＡ宣言した糸井嘉男外野手（３５）は１１日、阪神との第１回交渉を終えてニッコリと笑顔で会見場に姿を現した。金本監督からの熱いラブコールに喜びを隠せなかった。

　「勝つために必要な戦力ということと、“初めての恋人やから”と言ってもらいました。選手としたらそういう言葉、すごくうれしく思います」

　まるで新人選手のような初々しい笑顔。同じ右投げ左打ちの外野手。打者として選手として尊敬するレジェンドの言葉に超人の心は激しく揺さぶられた。

　「ちょっと今、まだ整理がついていない。帰ってしっかり考えて整理して返事したい」

　即答は避けたが、迷いがあるわけではなさそうだ。ＦＡ宣言を表明した際には「夜も眠れないくらい考えた」と明かしていたが、この日は「眠ります。自分の野球人生なんでしっかりと考えて答えを出したいと思います」ときっぱりと言った。

　最初で最後と覚悟して臨んだＦＡ権の行使。オリックスから最大級の条件で残留を要請され、阪神からも「いい評価をしてもらいました」と心が浮き立つような提示を受けた。プロ野球選手冥利（みょうり）に尽きる日々に超人の顔には笑顔ばかりがあふれた。