金本監督、糸井の返答無期限で待つ「信じて待つしかない」
阪神・金本知憲監督(48)が14日、秋季キャンプ地の安芸で、オリックスからFA宣言し、11日に初交渉を行った糸井嘉男外野手(35)からの返答を無期限で待つ姿勢を明らかにした。「悩むのは当然」と理解を示した上で「期限は決めていない」「信じて待つしかない」と表明。攻撃的2番構想を描きながら“虎の糸井”誕生の瞬間を心待ちにする。
はやる気持ちをぐっと抑えて、“初めての恋人”にメッセージを送った。初交渉から3日経過しても糸井からの返事はまだない。金本監督は「悩むのは当然」と心境を理解し、返答期限も「決めていない」とせかすことはない。「信じて待つしかない」と寛容な心を示した。
自らの経験を踏まえている。02年オフにFA権を行使して、広島から阪神に移籍。「俺は自分で期限を付けて、10月いっぱいと。俺はイラチだから」と関西弁でせっかちを意味する言葉で自身の性格を表現し、「パパパッと決めたい方だから。そこまでは相当悩むけど、キリがないからね」と体験談を振り返った。
だからといって、金本流を他の人に求めるつもりはない。「人それぞれ、熟考したいタイプもいれば」と現在の糸井の心境を十分に思いやる。自身は当時の阪神・星野監督から「迷ったらGOや」と早期決断を後押しされたが「悩むようであればね」と、あくまで糸井のペースを優先する構えだ。
「恋人以上に思っています」とまで表現する糸井に対する、ありったけの熱い思いは交渉解禁初日の11日にすでに伝えた。「彼が迷っているようであれば、何度でも会いたい」とも口にしていたが、今は糸井から反応を待つ方針だ。
だからといって、ただ黙って待っているわけではない。「阪神・糸井」が誕生した場合、打順は2番に入れる青写真を描いている。今季オリックスでは1番と3番を打ったが「もし来たら、1番はもったいなくない?2桁ホームラン打つのであれば」と切り込み隊長役には消極的だ。
「セカンドゴロを打って一塁に残っても、盗塁すれば送りバントと同じ意味をなすわけだから」と説明。超変革元年の今季も攻撃型2番を掲げ、横田を抜てきして開幕したものの途中で頓挫した。糸井なら金本監督が理想とする「バント重視の2番ではなく、ゲッツーのない攻める2番」の実現に近づくと期待している。
打順に続き、糸井の守備位置に関して質問が及ぶと「入ってからにしましょう。そこらへんは」と話を止めた。現有戦力に糸井が加わった際の構想はどんどん膨らむが、これ以上の公言は正式誕生まで封印。イラチを自認する金本監督だが「待つ時は、僕は穏やかです」と自身の性格も封印する。果報は寝て待つだけだ。