原口、虎史上最高アップ率!358%増2200万円でサイン 誓った正捕手獲り
阪神・原口文仁捕手(24)が29日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、480万円から球団史上最高のアップ率となる358%増の2200万円(金額は推定)でサインした。新庄剛志、井川慶ら偉大な先輩を上回る大幅増を勝ち取った若虎は来季、正捕手の座をつかみ、初の規定打席到達を誓った。
口元は自然と緩んでいった。育成選手からスタートして、レギュラー候補にまで成長。一気に階段を駆け上がった先に、バラ色のオフが待っていた。40分の交渉の末、つかみ取った約4・6倍の大幅アップ。原口が表情に充実感をにじませた。
「こういうシーズンや、こういう時がくることを目標にずっとやっていた。さらに頑張りたいと思った」
契約更改後、会見場で報道陣やテレビカメラを前にして取材に応じるのは初めてだった。「緊張している。途中で何を言っているか、分からなくなっちゃった…」。初々しさを見せつつ、7年目のブレークを振り返った。
今季は春季キャンプから結果を残して、4月27日に3年ぶりの支配下登録に復帰。5月には月間MVPを受賞し、オールスターにも初出場した。
「金本監督、掛布2軍監督をはじめ、スタッフの方にお世話になった。いいタイミングで1軍に上げていただいたので、勢いのままやれた」。107試合で打率・299、11本塁打、46打点。球団の生え抜き捕手では1985年・木戸克彦(13本)以来の2桁本塁打を記録し、打撃ではレギュラー級の活躍を見せた。
「評価はかなりした。月間MVPや、捕手という難しいポジションというのは加味した」と高野球団本部長。93年・新庄剛志(323%)、02年・井川慶(300%)ら偉大な先輩を超え、過去最高だった08年・桜井広大(346%)も上回る358%アップへとつながった。
それでも、原口の喜びは控えめだった。すでに視線は本当の勝負となる来季へ向いている。正捕手の座をつかみ、初の規定打席到達を目標に掲げた。
「まず捕手で勝負すると強く思っている。勝利を左右するポジションなので、捕手で信頼してもらえるように、守備でも打撃でもやっていきたい」
打力を生かすため、一塁に挑戦する可能性もあるが、「一塁の準備をして捕手はできない。捕手の準備をして、一塁へ行けと言われたら行けるように準備したい」。会見中は、何度も捕手への強いこだわりを示した。
オフは肩、股関節、足首など、捕手に必要な箇所を徹底的に鍛えていく。来年1月10日からは今年と同様に、三重県伊賀市で自主トレを行って、梅野、坂本らとの正捕手争いに備える。
27日には選手寮「虎風荘」を退寮した。「しっかり自己管理をして、野球につなげたい」。これまで以上に自覚は強い。8年目の来季。驚異のアップ率に恥じない成績を目指す。