金本阪神V逸の影と逆襲への光(2) 「0-2」からの3球目を投手王国到来への糧に

 なぜ前評判の高かった金本阪神は敗れたのか-。デイリースポーツでは4回にわたって「金本阪神V逸の影と逆襲への光」と題して検証する。今回は第2回。

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 決まったカウントになると、球場がザワつき始める。ネット裏では評論家が首を傾げ、ある人は「ムダ球だ」と厳しく非難した。「0-2」からの3球目。シーズン中盤は特に捕手・梅野が、外角に大きく外れて構えるシーンが多く見えた。

 指揮官が幾度なく指摘し、敗戦で目立った2ストライクからの痛打。リーグ優勝の可能性が完全消滅した9月19日のヤクルト戦でも、先発の才木が初回に同カウントから失点を招いた。昨季リーグトップの防御率3・29から、4・05に跳ね上がった要因とする声も少なくない。問われた3球勝負の是非。ただ、6球団の被打率を比較すれば違う見え方もある(※別表参照)。

 数字上で大差はない。では、何か。香田投手コーチは言う。「打たれる場所です。得点圏や、ノーアウトの打者、先頭だったりするから余計に目立つ。印象が悪いんですね」。先発では岩貞に小野、才木、シーズン序盤は新人・高橋遥の台頭があった。ただ“新鮮力”は一方で、経験不足のリスクを伴う。夏場には批判は覚悟の上で若手投手に限って、チーム方針として大きく外す方針を徹底した。

 「まだ、単純な技術不足です。投手のムダ球は1球でもあってはいけない。ただ、2ストライクから打者に気持ちよくスイングさせるのは、一番恥ずかしいこと。意識付けです。ストライクからボールになる球、体の近くに投げられる制球力。これから、そういうのが必要になってくる」

 藤浪、秋山の不振にメッセンジャーの離脱。柱を担うべき投手の成績に、期待値の誤算は確かにあった。それでも、潜在能力の高い若手が経験し、失敗し、糧にするシーズンにもなった。夏場以降、才木が広島相手に3戦3勝したように、王者攻略の糸口が見えたのも確かである。また、2軍では20歳の浜地も頭角を現した。中継ぎでは望月や守屋、尾仲といった速球派にも無限の可能性を感じる。

 「将来に向けて、こうやって…と描くと、いい投手陣ができるんじゃないか、というね。いろんな可能性を持っている投手、球の速い投手というのが、出てきたんじゃないかと思う。広島を抑えるには球威、球の強さ、制球力が必要になる。何か1つだけじゃなく2つ必要。広島を相手に力で勝てる投手が出てきてほしいんです」

 思い描くのは藤浪に小野、才木、望月、浜地…。150キロ超の球速を誇る投手で回すローテーション。リリーフにもかつて無敵を誇ったJFKのように、打者を圧倒する勝負強さを求めていく。確かに防御率は上がったが、それでもリーグ2位の数字(別表参照)だ。0-2からの失敗が成功に変われば、根気強くまいた種に花が咲くだろう。強打のカープに真っ向勝負を挑み、力でねじ伏せる投手陣の形成。投手王国の到来がストップ・ザ・カープのカギを握る。

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