小野、復活0封 お見事プロ初救援 矢野監督のひと言で「緊張和らいだ」
「交流戦、ロッテ3-4阪神」(6日、ZOZOマリンスタジアム)
感謝のマウンドへと帰ってきた。かかった時間は短いようで、長い。野球人生で初めて経験した右肘の違和感を越えて。阪神・小野が静かに笑った。「1軍のマウンドで投げられて楽しかった」。2回1安打無失点。緊張しまくりの右腕を救ったのは、指揮官だった。
五回終了時のインターバル。小野は慣れないブルペンで肩を作っていた。初めて経験するリリーフとしての役割。それも1点差だ。先発をやっていたからこそ分かった…先発投手の勝利を守るということの重みが。そんな中、ブルペンの扉が突然開く。入ってきたのは矢野監督だった。
「結果を気にしなくていいからな。全力で投げてこい」-。
肩の荷がすっと下りたような気がしたという。「緊張していたのが、和らぎました」。八回を任されてきたジョンソンが休養日。復帰登板は、イニングまたぎとなった。さぁ、行こう。244日ぶりの1軍マウンドへ。七回には井上に死球を当て、両軍が入り乱れる警告試合に。それでも最後は香月を左飛に打ち取り、プロ初のホールドを挙げた。
春季キャンプ中に右肘に違和感を訴え、1軍を離れることになった。初めてだという肘の痛みと向き合い、不安な日々を懸命に歩いてきた。一歩ずつ、ゆっくりと。そして5日に今季初昇格。うれしそうに、グラウンドへと飛び出した。
投げたい、でも投げられない…。もどかしいリハビリ時間を乗り越えて。「リリーフという立場でも1軍に呼んでもらえた。経験できることで、自分の幅も広がっていくと思います」。仲間、ファン…そして矢野監督が待つ1軍のマウンドへ。小野がようやく帰ってきた。