四国~生まれ変わった元祖トロッコ列車
JRからきょうまで発売中の「秋の乗り放題パス」で四国に向かった。快速・普通列車の普通車自由席が連続する3日間乗り放題の切符で、おとな7500円、こども3750円。予讃線の下灘駅に寄り、リニューアルされたトロッコ列車の元祖「しまんトロッコ号」で日本最後の清流の“川上り”を満喫した。
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無蓋貨車トラ45000形を改造し、84年7月から走り始めた「清流しまんと号」が、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星」などを手掛けた水戸岡鋭治氏により1000万円の改造費をかけて「しまんトロッコ」と名前も新たに走りだした。
変更点は、けん引車のキハ54とトロッコ車両が“元気カラー”の山吹色一色に塗り替えられた。トロッコ車両の座席にクッションが入り乗り心地が向上。テーブルに突起をつけてつかまれるようにし、小さな台も追加した。背もたれも取り付けて床板を白木に張り替え、明るみと温かみが増した。また、巻き取り式の幌(ほろ)を装着し、防雨、防寒対策も施した。
宇和島を出発すると、日祝日はレールガイドの語り部さんがマイクを握り沿線を案内する。一期一会をモットーに時折拍手も受けながら江川崎まで続いた。入れ替わって特産品を販売するワゴンサービスが始まる。私は四万十うなぎのむすびとユズドレッシングを購入した。
十川(とおかわ)に着き、トロッコ車両に移動。予土線の中でも風景が特に素晴らしい、十川-土佐大正間13・4キロの“四万十川上り”の始まりだ。
“日本最後の清流”を串刺しにし、トンネルをくぐりながら、のんびり走る。今夏日本歴代最高気温の41度を記録した四万十市がほど近いとは思えない、秋の雰囲気だ。ほおをなでる風が心地よい。
愛媛県大洲市から来たデービス・メイくん(3)は恥ずかしかったのか、お父さんを通じて、「楽しかった。景色がキレイだった」と。車掌の杉内康敏さん(34)は「景色が素晴らしくて風を受けるしまんトロッコに、ぜひ乗りに来て下さい」とアピールを忘れなかった。
沿線の紅葉もこれからが見頃だそうだ。秋のトロッコ列車オススメです。
◆トロッコ列車・しまんトロッコ号 10、11月の土日祝日運転。上り・宇和島11時32分発、窪川13時51分着(トロッコ乗車区間は十川-土佐大正)。下り・窪川15時01分発、宇和島17時44分着(同土佐大正-江川崎)。座席指定券510円(こども250円)が必要。トロッコの定員は40人。