「利休にたずねよ」古都のロケ地巡り
歌舞伎俳優・市川海老蔵(35)が、希代の茶人・千利休に扮(ふん)した話題作、映画「利休にたずねよ」が12月7日に公開される。劇中に登場する重厚な舞台は、京都の寺社仏閣を中心にさまざまな名所史跡で撮影が行われた。紅葉が古都を美しく彩り始めた季節。歴史を探訪しながら、利休ロケ地を訪ねた。
【大覚寺】
今年は残暑が長びいたせいか、京都の紅葉はこれからが本番だ。観光客で大賑(にぎ)わいの嵐山からバスで約10分。車窓が閑静な嵯峨の街並みに変わるころ、ゆっくりと大覚寺が見えてきた。
映画序盤、利休が織田信長(伊勢谷友介)と初めて対面した際に、信長が待ちわびる中、利休が月夜の道をはせ参じるシーンで登場する。作品写真(上)の海老蔵をまねて写真に納まるなら、表門に向かって右手突き当たり、松の木をバックにどうぞ。
「遅い」といらだつ門番に利休が「まだ少し早うございます」と悠然と返す場面は表門左側に並ぶ白塗りの明智門で撮影された。
1200年前に嵯峨天皇が離宮として築いたのが起源とあって、境内は喧騒(けんそう)からかけ離れた風情。境内東側の広大な大沢池は嵯峨帝が中国・洞庭湖を模して造った日本最古の庭池なのだとか。庭池といっても外周1キロもある…デカすぎ。
【南禅寺】
「絶景かな、絶景かな…」。南禅寺の楼門の上から京の街を見下ろし、名セリフを吐いたのは盗賊・石川五右衛門。海老蔵が演じたこともある歌舞伎「楼門五三桐」の名場面だ。
東山にある南禅寺。映画では秀吉(大森南朋)が喪主を務めた信長の葬儀シーンで使用された。無料で境内の紅葉が楽しめ、境内横の琵琶湖疎水の水道橋も有名。平日でも行楽客で活気にあふれている。昨年の撮影はひとけが少ない時間を選び、冬の夜明けとともに凍えながらスタートしたという。
ちなみにこの三門。実は建設されたのは1628年。一方、五右衛門はその30年以上前の1594年に三条河原で処刑されたとされており…三門の五右衛門伝説は歌舞伎の世界のお話だとか。
【映画村】
映画は東映京都撮影所を拠点に撮影され、隣にある東映太秦映画村でもロケが行われた。
お化け屋敷や忍者屋敷もあり、修学旅行でもおなじみスポットだが、タイミングがよければ思わぬ映画撮影が見学できる。昨年、「利休-」が撮影されたときも来場者が見守る中で行われたという。映画序盤で信長が街中で馬を走らせる場面や、若き日の利休が雨の中をさまよう場面などが撮影された。
スタッフさんに聞けば、撮影場所を教えてくれる。