青春18きっぷでのんびり木造駅舎探訪を

 雪が舞い落ちる美作河井駅
 美作滝尾駅
 美作千代駅
3枚

 春の「青春18きっぷ」シーズン。5回分で1万1500円。1日あたり2300円で全国のJR線普通・快速列車などが乗り放題となる、鉄ちゃんのマストアイテムだが、1回分が余って困ったことはありませんか?利用期限は来月10日まで。使い切らなきゃモッタイナイ。気軽に郷愁を誘う木造駅舎めぐりの日帰り旅に出た。

 岡山から津山線の快速「ことぶき」で69分。なごり雪舞う津山駅に降り立った。遠くに日本で2番目の規模を誇る扇形機関車庫が確認できた。

 因美線で岡山と鳥取の県境を目指す。キハ120形気動車はうなりを上げながらゆっくりと峠を上る。車窓が白くなってきた。もう3月だというのにまだまだ雪深い。

 岡山県最北端の美作河井で下車。かつては急行「砂丘」のタブレット交換でにぎわいを見せていたが、ひっそりとした無人駅だ。駅の隅にはラッセル車の向きを変えるために使用された珍しい手動の転車台がある。時代に取り残されて朽ち果てていたが、07年に“発掘”されて、今では近代化産業遺産にもなっている。

 因美線は運転本数が少ない“全国屈指のローカル線”だ。折り返しの列車が来るまで1時間以上。チョット寒いが誰もいない待合室でのんびり過ごす。

 レトロ感なら姫新線の美作千代も負けていない。23(大正12)年の開業以来、ほぼ原形をとどめる木造駅舎は、時代が染みこみ黒光りしていた。待合室には開業当時の写真が掲示されており往時をしのばせている。

 旅の終わりにもう一度因美線に乗って美作滝尾を訪れた。地元の人々によって美しく整備された駅舎は郷愁を誘う“古き良き正しき駅”として有名で、映画「男はつらいよ」の最終作「寅次郎 紅の花」の冒頭シーンに登場したことで知られている。木枠の手荷物預かり所や窓口など、昔の国鉄の駅員さんが今にも顔を出すようだ。

 時が流れても変わらぬ姿で人々を待ち続ける木造駅舎たち。時代が染みこんだ木の温(ぬく)もりが「ゆっくりしていきなさい」と人々をこれからも癒やし続ける。

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