磐座を拝む~京都・亀岡の出雲大神宮

 出雲大神宮の奥にある磐座=京都府亀岡市
 90年の設備が並ぶ日本天鵞絨工業=京都府南丹市
2枚

 京都にある古い神社ながら、もひとつ知られていない2社を訪ねた。出雲大神宮(亀岡市)と生身(いきみ)天満宮(南丹市)。前者は“日本一の縁結び”として親しまれ、後者は菅原道真が生きているときから祭ったことから“日本最古の天満宮”として信仰を集める。春の陽気に誘われて普段は行かないちょっと遠い所に足を延ばした。もしかしたら、良縁があるかも!?

 出雲大神宮の岩田昌憲宮司は同神社の“3つの長所”として「縁結び、長寿、金運」と自信を持ってあげた。

 その力の源とも言えるのが参道を奥に行ったところに鎮座する「磐座(いわくら)」だ。高さ3メートル、周囲15メートル、重さは推定20トンという巨大な岩。近寄れないように現在は注連縄(しめなわ)で禁足エリアであることが示されているが、以前はだれもが岩に触れることができたという。

 なぜ禁じたのか。岩田宮司によると、以前、同神社に訪れた大臣が磐座の破片を無断で持って帰ったという。それからしばらくして大臣は病に倒れ、引退するまでに至った。

 宮司は「地元の人は絶対に持って帰りません。知ってはるんですね。そういうことをしてはいけないと。持って帰ったら末代まで、えらいことになります」と厳しい表情で話した。知らずに岩の破片を持って帰る人がいるため、そういうことがないようにと現在は侵入禁止エリアであることを示している。

 磐座の存在感は圧倒的だ。宮司は「磐座の写真を撮ると時々、金色の光が写ることがあります。そういう写真を撮るのはたいてい女性です。男はなんででしょうね。あまりないですね」と不思議そうに話した。

 生身天満宮は「天神さん」とも親しまれ、全国に約1万2000社ある天満宮の中で最も古いという。天満宮が祭るのが学問の神として親しまれる菅原道真。生身天満宮では菅原道真が生きているときから「生き祠(ほこら)」として祭ったことから「生身」と称されるようになったという。

 現在の宮司は38代目の武部昌英さん。神社一帯は深い緑に覆われ、千年の時を感じさせる。武部宮司は「日本最古の天神さんにお参りください」と人なつっこい笑顔で呼びかけた。

 ◆生身天満宮近くにビロード工場

 生身天満宮からほど近い距離に、90年間、同じ制作工程にこだわり続ける「日本天鵞絨工業」がある。天鵞絨と書いてビロードと読む。

 同社5代目社長の藤本義人氏(46)は、ビロードと同じような生地にベルベットがあることについて「両者は異なります」と述べた。同社で生産するビロードは糸を織り込む際に太さ0・6ミリの針金を一緒に織り込んで最後に手作業で針金を取り出すなど複雑な工程を経ており、大量生産は難しい。それに対し、ベルベットは大量生産が可能でその分、値段も抑えることが可能という。

 同社では工場見学を受け付け中。5人以上で1人500円。ビロードを使った自分だけのアクセサリーを作るワークショップも。アクセサリーの値段は2500円~。申し込みは希望日の3週間前までにメールで応募。日祝休み。アドレスはfuaox515@cans.zaq.ne.jp

旅最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス