新潟地酒を堪能できるオトナの観光列車
2014年5月16日
停車中の「越乃Shu*Kura(こしのしゅくら)」。「酒」をコンセプトにした大人の観光列車だ
車内ではジャズの生演奏も行われる
日本一の米どころ・新潟県は日本一の酒どころでもある。全国最多の92酒蔵を誇る“地酒王国”に、「酒」をコンセプトにした列車がデビューしたという情報を入手し、鉄っ子記者が潜入。JR東日本の快速「越乃Shu*Kura(こしのしゅくら)」。日本酒の奥深さとうまさがぎっしり詰まった旅に酔いしれた。
「酒」をテーマにした列車というから、赤ちょうちんがぶら下がり、倍賞千恵子みたいなおかみさんがお酌をしてくれて、流れる音楽は八代亜紀…という勝手な想像をしていたが、「越乃Shu*Kura(こしのしゅくら)」は、伝統の藍下黒と白に色分けられ洗練された観光列車だった。
国鉄時代の名車・キハ40・キハ47形気動車3両編成を改造。ヘッドマークなどの演出はないが、側面の大きな展望窓が印象的だ。ウエルカムサービスとして、すべての乗客に地酒が無料でふるまわれる。新潟に来たからには新潟のお酒を味わってほしいという太っ腹サービスだ。
1号車はJR東日本の「びゅう旅行商品」専用車両。カップルにぴったりな「展望ペアシート」など独自の座席配置が特徴だ。車内限定販売のオリジナル大吟醸酒など2本の地酒とセットになった食事が付いており、内容も往路と復路で違う。3号車は一般の指定席車。座席の間隔が広くリクライニングも深い。グリーン車に勝るとも劣らぬ出来の良さに個人的にはこちらがオススメだ。
真ん中の2号車からジャズの名曲「A列車で行こう」が流れてきた。通称「ジャズトリオShu*Kura」の生演奏だ。サービスカウンター「蔵守」で呑みくらべクーポンを購入して、利き酒を楽しみながら耳をかたむける。この日のバンド・マスター、経麻朗(きょうまろう)さんはこの道ウン十年の大ベテラン。年季の入ったギブソン・ギターが奏でる調べが心地よい。乗客のリクエストで即興演奏することもあるとか。ジャズの生演奏は片道3回ずつ行われ、日本海に一番近い「青海川駅」では停車中に窓を開けての演奏も行われる。
2号車ではまた、「蔵元イベント」として、蔵元自慢の地酒を試飲できる。この日の地酒は「君の井」。淡麗辛口な新潟の地酒は飲みやすくいくらでもいける。制限はないからといって飲みすぎにはご注意を(イベントは実施日が限定されており、スケジュールなどはJR東日本のHPを参照)。
ジャズをバックに一杯、新潟の雄大な景色を肴(さかな)に一杯-。なんともぜいたくな大人の観光列車だ。