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映画「柘榴坂の仇討ち」~大津&彦根

2014年9月26日

 劇中の「柘榴坂」として設定された西教寺の参道=大津市

 劇中の「柘榴坂」として設定された西教寺の参道=大津市

 名勝「楽々園」から見る彦根城天守閣=彦根市

 名勝「楽々園」から見る彦根城天守閣=彦根市

 大老・井伊直弼が江戸城桜田門で襲われ、主君を守れなかった近習・志村金吾(中井貴一)が13年かけて仇敵(阿部寛)を探し出す。映画「柘榴坂の仇討ち」は金吾が切腹も許されず、仇を討とうとする強固な執念を描いた。中井は金吾のひたむきさを狂気をむき出しにして表現する。しかしラスト、妻せつ(広末涼子)とのシーンにすべての緊張が解けていく。150年前の時代を描いたロケ地を訪ねた。

 【西教寺】

 主君・井伊直弼を守ることができなかった近習の金吾(中井貴一)に筆頭家老が命じる。「切腹は許さん!水戸浪士の首の一つでもあげよ!」。西教寺では金吾が仇討ちを命じられるシーンが撮影された。ここから金吾の長い旅が始まる。

 監督たちが40カ所以上の寺院を回ってロケ地に選んだ。映画では江戸の彦根藩屋敷という設定。寺院の総門から本堂までの坂は映画タイトルにもなった「柘榴坂」として作中に登場する。

 織田信長による比叡山焼き討ちの際に西教寺も焼失。後に明智光秀が復興に尽力したことから明智一族の墓が残っている。縁は深く、光秀が築城した坂本城の門が同寺の総門として移築されている。定期的に全国の光秀ファンが訪れる。

 【三井寺(みいでら)】

 井伊直弼の墓がある豪徳寺という設定で作中に登場する。金吾の仇敵である佐橋十兵衛(阿部寛)が山門で手を合わせるシーンや、金吾が人相書きを手に水戸藩士を捜し回るシーンが撮影された。この際、映画の原作小説を書いた作家の浅田次郎氏がわずかな時間ながらエキストラとして出演している。

 【埋木舎(うもれぎのや)】

 埋木舎は井伊直弼が17歳から世継ぎとなる32歳までを過ごした屋敷。すぐ隣に彦根城があり、映画では江戸城という設定で金吾が道を歩くシーンが撮影された。もともとの建物は1984(昭和59)年に雪で倒れ、91(平成3)年に再建。現在に至っている。

 屋内には、NHK大河ドラマ第1作「花の生涯」(1963年)の写真が多数展示されている。井伊直弼の生涯を描いたドラマで、中井貴一の父・佐田啓二が井伊家の家臣役で出演しており、くしくも親子そろって同様の役を演じた。

 江戸から明治への大変革期を愚直に駆け抜けた武士の生きざまに、今を生きるヒントがあるかもしれない。



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