「さんふらわあ」ゆら~り海上15時間
2014年10月24日
週末、祝日などで実施される紙テープ投げ
大阪南港を離れたさんふらわあ。まもなく夕焼けに
さんふらわあに乗った。白い船体にオレンジの太陽の絵が浮かぶあの船だ。目指すは鹿児島県志布志市。船旅は時間がかかるため、つい敬遠しがちだ。鹿児島まで飛行機なら大阪から1時間15分、普通運賃は3万円。船だと約15時間、2等で1万5030円。めちゃ安い!とは決して言えないけれど、たまにはのんびり海を移動するのもいいもんでした。
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海上を走るさんふらわあは何度も見てきたが、乗るのは初めてだ。乗船してしばらくすると銅鑼(どら)が鳴った。出港10分前の合図だ。17時55分、船は大阪南港を離れた。
さんふらわあは国内最大級の客船。初就航が1972年で歴史もあり、それだけにファンも多い。2010年にはABCの人気番組「探偵!ナイトスクープ」からトンデモな依頼があった。
船の喫水線下の船首に「バルバスバウ」と呼ばれる球状突起がある。航行中の波の抵抗を少なくするためのもので、船の荷が重いと海中に隠れるが、軽いとある程度海上に現れる。ナイトスクープへの依頼主は徳島の女性で、「さんふらわあの船首になりたい」というものだった。探偵はカンニング竹山が務め、願いをかなえた。
船旅で心配なのはやはり船酔いだろう。出航するとやはり揺れを感じる。しかし、さんふらわあ旅客グループの高木俊彦さんが言うには波によるものではなくエンジンの振動だそうだ。「波の揺れを感じるのは外洋に出てから。それでもほとんど感じないと思います」と話した。大阪湾を南下して四国沖、太平洋を行く。確かに外洋に出ても揺れは感じない。エンジンの振動にも慣れてきた。
高木さんは「大人のほうが酔いにくい。修学旅行の中高生のほうが大変そうです」。年を取って良いこともあるのだ。
港を出て3時間ほどでケータイは圏外になった。たまにはこういうのもいい。つながらなければ夜の蝶(ちょう)からの誘いもなくて実に健全だ。甲板に出ると夜風が気持ち良かった。
翌朝8時ごろには陸地がぼちぼちと見えてきた。ケータイもつながる。メールが10件ほど来た。すべて仕事がらみ。夜の蝶すら自分を思い出してくれなかったという思いがよぎる。こうやってメール地獄、スマホ地獄に落ちていくのだ。落ちないようにしよう。
朝食をとってから甲板へ。雲は多いが青空を見ながら飲むコーヒーは格別だ。
大阪を出てだいたい15時間で志布志に着いた。さあ、ハモを食うか、ウナギを食うか。両方か。