小豆島の空と海、アートが世界をつなぐ~瀬戸内国際芸術祭
瀬戸内海の島々と港で現代アートを披露する「瀬戸内国際芸術祭2016」が開催中だ。3年に1度、3回目となる今回の注目は、香川県小豆島のビーチに出現した196体もの子供の像。1体ずつ製作し、設置された大作に、どんな思いが込められているのか-。約50点の作品がある小豆島を訪ねた。
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岡山からのフェリーが着く小豆島北部の大部港近くを車で行く。降車して歩き、防波堤を越えると真夏のビーチを埋め尽くす白い像があった。あまりの多さに、強い日差しを忘れて見入った。
数は196。高さは大人の腰より少し低い。みんな子供だ。波に削られたのか、部分的に欠けていたりする。こんなところに立っていて大丈夫?風や波に浸食されないかと心配してしまったが、子供たちの表情は笑顔に見えた。
沖に浮かぶ小島と青空がマッチしてとても美しい。でもここではビーチの像が主役だ。作品名は「国境を越えて・潮」。作者は台湾のリン・シュンロンさん。なぜ子供なのか。シリア難民を乗せた船が事故にあい、多くの幼い命が海に消えた。リンさんは子供たちを悼むとともに、未来に向けた幸せへの希望を作品に込めたという。
像の数、196は世界における日本が承認する国の数を示す。胸には日本から196の国々までの距離、背中にはその国の経緯度が記されており、それぞれ表示された国の方向を向いている。像の素材は砂、餅粉、石こう、砂糖、繊維。すべての像は波や風雨に浸食されて土にかえり、最後は支柱と頭部にあるバラの造花だけが残る。
初めて「瀬戸芸」を鑑賞したという高松市から来た新名莉奈さん(20)は「海辺に立つ子供たちを見て切なかったけど、コンセプトを知って胸にグッときました」と魅了された。
小豆島は、日本で最初に栽培に成功したオリーブ園、日本三大渓谷美に数えられる寒霞渓など、観光の見どころが多い。そこに現代アートが仲間入りした。どの作品が自分の感性と合うのか。ここでは胸躍る旅を楽しめる。
◆瀬戸内国際芸術祭 2010年、13年に続く第3回の夏会期(9月4日まで)を開催中。参加アーティストは30を超える国と地域から200組以上。開催地は香川と岡山の間の直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島の12島と高松港、宇野港。秋会期は10月8日~11月6日で、会期間に鑑賞できる作品もある。作品鑑賞パスポートは一般5000円、高校生3500円で全会期中有効(別料金が必要な施設もあり)。問い合わせはTEL087・813・2244へ。公式HPは「瀬戸内国際芸術祭」で検索を。
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