井上拓真が2度目の防衛成功 1回にまさかのダウンも挽回 大差判定で制すも反省「こんな内容では統一戦と言えない」 ネリ戦控える兄・尚弥にバトン繫ぐ

 「ボクシング・WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(6日、東京ドーム)

 王者井上拓真(28)=大橋=が同級1位の挑戦者、石田匠(32)=井岡=を判定3-0で下し、2度目の防衛に成功した。井上の通算成績は20勝(5KO)1敗となった。

 1回に石田の左のジャブがカウンター気味に井上の顎にヒットし、王者が膝をつく形でまさかのダウン。時間を掛けて立ち上がったが、会場は騒然となった。2回は落ち着いて攻めを組み立てて、ペースを取り戻し、石田にダメージを与えていった。9回には石田が腕が絡んだ状態からふりほどいた時に、井上が尻もちをつく場面も。井上は石田が押したと主張し、不服そうな表情を浮かべた。終盤は激しい打ち合いとなったが、1回以降は完全に井上がほぼ主導権を握り続け、ダウンを挽回し、勝ちきった。

 試合後のインタビューでは「想像以上の石田選手のジャブのやりずらさで苦戦した。今日は勝てた、それだけがただの収穫。こんな内容では統一戦とは言ってられない。課題をクリアしてもっと強いチャンピオンになりたい」と、語った。

 WBC王者に中谷潤人、IBF王者に西田凌佑と世界主要4団体中3団体が日本人王者、そしてこの試合の直後には武居由樹がWBO王座に挑むという同階級の状況の中、存在感を示し、メーンでネリ戦に挑む兄の尚弥に繋げたかったが、しっかり役目を果たした。

 興行終了後の会見では「(兄と同じく)自分も1ラウンド目にダウンしてしまって。冷静に組み立てて挽回できたので、今日の収穫はその冷静さだけですね。(ダウン後の対応は)ジャブでも競り勝てると思ってたので、ダウンしてからはしっかり冷静に自分のジャブも当てられていたので、競り勝てたのが良かったですね」と振り返り、今後については「今日の試合内容では統一戦と言っている場合じゃないと自覚している。課題をクリアして統一戦に向けてしっかり防衛していきたい」と話した。

 ◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年12月26日、神奈川県座間市出身。アマチュア戦績57戦52勝(14KO)5敗。2013年12月にプロデビュー。15年に東洋太平洋スーパーフライ級王座、18年にWBC暫定世界バンタム級王座、21年にWBOアジアパシフィック王座、22年に日本スーパーバンタム級王座、23年にWBA世界バンタム級王座を獲得。身長164センチ。右ボクサーファイター。

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