おびえる瞳の元野犬 「小さなワンコ」「人間の子ども」が大好きなお利口さん 幸せをつかみ預かりボラさんから“卒業”

茨城県茨城町は県内でも特に野犬が多いと言われています。30キロもありそうな大型犬の群れが林や畑を走り回る一方、野犬の繁殖を止めることができず、結果的に不幸な犬が増えている現状があります。

そんな中、地元の動物愛護センターには行き場を失った犬が常時150匹以上も収容されています。

2023年暮れに茨城県動物指導センターに収容された推定1歳未満のメスのミックス犬・イェールもそうでした。小柄ではあるものの、すでに20キロほどに成長していました。立派な体格ですが、性格はおとなしく、人間と目を合わさずいつもビクビク。自分より小さなワンコを守ろうとする素ぶりを見せるなど心優しい犬です。

イェールの存在を知った北関東を中心に保護活動を行う団体・Delacroix Dog Ranch(以下、D.D. Ranch)では、引き出すことに決め適切なトレーニングなどを実施した後、里親さんの元へと譲渡し、幸せな犬生へと繋ぐことにしました。

■おびえから一転…大はしゃぎ

イェールを引き出した後、保護メンバーの家に連れていきました。人間の話を聞く様子がある一方、動物愛護センターで見せた表情と変わらずおびえるように過ごしていました。

しかし、保護メンバーが部屋から姿を消すと、意外な行動に移ります。保護メンバーの家の子どもたちに向かって、「遊んで!」とはしゃぐのです。保護メンバーはこの様子をペットカメラで確認し目を疑いましたが、本来のイェールは人間とのコミュニケーションも取れる明るく穏やかな性格の持ち主なのかもしれません。小さなワンコを守ろうとする性格を考えれば、きちんとトレーニングを行えば、必ず幸せをつかむむことができる、と確信しました。

■「雨の日」にテンションが上がる理由は…

トレーニングは人馴れ、トイレ、散歩など多岐に渡りました。当初こそおびえながらも一つずつ全てクリア。散歩だけはちょっと苦手ですが、少しずつ心を開いてくれるようにもなりましたが、ここでまた意外な一面が。

「雨の日」になるとテンション爆上がりになるというもの。かつて過ごした環境で雨の日に他のワンコたちと楽しく遊んだ記憶があるのかもしれません。まだまだ若い月齢で、遊びたい盛りだったところを収容されたイェールの姿を想像し胸が苦しくなるメンバーでした。

また、ときにまるで大きさの違う小型犬用のハウスに隠れようと頭を突っ込み、抜けなくなることも。そんなお茶目ぶりは保護メンバーを和ませてくれました。

■「未来を力強く生きて!」

お利口さんになったイェールに吉報が届きました。「迎え入れたい」という里親希望者さんの申し出です。一定期間のトライアルを経て、見事イェールはこの方の家で幸せな第二の犬生をおくることになりました。

イェールが正式に巣立っていく日、保護メンバーはその後ろ姿を見て引き出した日から今日までを回想しました。

「散歩とか夢のまた夢と思っていたのに、最後は道路を歩くこともできたイェール。全然完璧じゃないけど、それでもここまでこれたのはイェールががんばった成果だよ。輝かしい未来を、優しい里親さんと一緒に力強く生きていってね!」

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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