小久保号泣…母と王会長に「ありがとう」
「ソフトバンク0-3オリックス」(8日、ヤフド)
師の優しい笑顔が眼前に迫ると、こらえてきたものがあふれ出た。「引退セレモニー」の終盤。ソフトバンク・小久保が、王会長から花束を受け取ると涙腺は決壊。3万8561人の観衆が見守る中、人目もはばからず号泣した。
19年間のプロ野球人生、さまざまな出会いがあった中、引退あいさつで出たのは王会長の名だ。「技術的にはもちろん、プロとしての生き方、考え方を教えていただいた。今、僕の中にもその血が流れています」と感謝の思いを込めた。「あの人がいなければレギュラーになってない」。若手のころ、必死でボールを追い続けた日々が走馬灯のようによみがえった。
そしてもう一人「ありがとう」の思いを込めた人がいる。この日、外野席で観戦していた母・利子さんに対してだ。「女手一つで育ててくれて…ありがとう」。母の前でのフルスイングが最高の親孝行だった。
皮肉にも引退試合でノーヒットノーランを食らった。「俺は持っとるわ。不謹慎やけど…波瀾(はらん)万丈やな」と苦笑いを浮かべた。背番号と同じ9度選手に胴上げされたが元同僚のマリナーズ・川崎が飛び入り参加。さらにソフトバンクのCMに出演する女優・上戸彩からは花束贈呈に加え、41歳の誕生日だったためバースデーケーキをプレゼントされるなど、にぎやかな1日となった。
レギュラーシーズンは終了したが、13日からはCSが控える。「しびれる場面で、また試合をしないといけない」。全身全霊の思いを込め小久保が、完全燃焼する。