ミスター“解禁”松井に最大級の賛辞
巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(76)が28日、現役引退を表明した松井秀喜外野手に最大級の賛辞を贈った。92年のドラフトで競合した際に、くじ引きで見事に引き当てた最愛の教え子。ミスターは球団を通じて「現代で最高のホームランバッターだった、という言葉を贈りたい」とその功績を称賛するコメントを出した。
まるであふれ出るかのようだ。松井との思い出は、その胸の中にぎっしりと詰まっている。その愛弟子が現役引退を表明した。これまでは意図的に封印していた絶賛の言葉をついに解禁した。
「これまでは飛躍を妨げないよう、あえて称賛することを控えてきたつもりだが、ユニホームを脱いだ今は、『現代で最高のホームランバッターだった』という言葉を贈りたい」。ミスターが本当の意味で松井を認めた。最大級の賛辞だ。
まさに二人三脚で歩んできた道のりだった。松井の入団当時には、有名な「4番1000日計画」を掲げ、特に厳しく教え込んだ。自身が監督を務めたシーズン中も連日、自宅に招き、過酷なスイングを課した。当時の思い出も目に焼き付いている。「個人的には、二人きりで毎日続けた素振りの音が耳に残っている」と懐かしむ。
手塩にかけて育て上げたゴジラは、堂々たる巨人の4番打者となり、日本球界を代表するスラッガーになった。そしてメジャーに挑戦。「2000年の日本シリーズ、09年のワールドシリーズで、チームを優勝に導いた大きなホームランが目に浮かぶ」。ミスターの現役時代をほうふつとさせる勝負強さ。“最高傑作”に大満足の様子だ。
ユニホームを脱ぐ決断を下すに至った苦悩も十分に理解している。「大好きな野球を続けたいという本心よりも、ファンの抱く松井像を優先した決断だったように思う。最後の2、3年は投手と対戦する前に、ひざの故障と闘う毎日で、本人も辛かっただろう」
自身と同じスーパースターの気持ちは手に取るように分かる。自分のことのように、松井の心境を代弁した。
ひとまず、長嶋氏と現役選手としての松井の師弟関係は幕を閉じる。だがゴジラの第2の野球人生でも、師匠の存在は絶対に、半永久的に欠かせないものだ。